夏も本番間近の2024年6月10日。太陽が見えない曇り空で蒸したような暑さを感じるなか、青森地方裁判所の第1号法廷で開かれた裁判は、気付くと予定よりも30分以上、審理が引き延ばされていた。

証言台では弁護士の問に対して、被告の男がぼそぼそとつぶやいている。
「嫌がっているのは分かっていたが、自分の意思の弱さから、興奮しちゃってました…」

黒に青色のラインの入ったジャージを身にまとい、眼鏡とマスクを着用して入廷してきた中肉中背の男は、終始、小さくうずくまるような猫背だった。一見物静かそうで、おとなしそうなこの男が犯した罪は、電車内でのわいせつ行為。いわゆる“痴漢”の一種だった。

被害者は多感な時期を迎えていたであろう16歳の女子高校生だ―。

38歳の男が犯した罪

青森県内に住む作業員の38歳の男は、2024年4月10日の夕方、走行する電車内で16歳の女子高校生の尻や手に、興奮した状態で股間部分を押しつけたとして、青森県迷惑行為等防止条例違反の罪に問われている。

10日の初公判で男は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

検察側の提示した証拠のなかには、被害者とは別の女性の尻の画像が多数男のスマートフォンにあったことや、取り調べの内容などが語られた。

男の性癖がまざまざと語られる…

その内容は、実に生々しいものだった。犯行前日に自慰行為をしながらスマホで見たAV(アダルトビデオ)がきっかけで、女性が嫌そうになることに興奮を覚え、同様のことがしたくなったことから犯行に至ったこと。犯行時には、自身の興奮した状態の股間部分の形をしっかりと出すために、薄手の黒いズボンを履いていたこと。「嫌だよな。気持ち悪いよな。」と思いながらも興奮していたこと。被害者の手に股間を押し付けた際に、尻よりも気持ちいいと思ったことなど…。

被告の男の性癖がまざまざと語られた。

また、男は「ADHD(注意欠如・多動症)」であり、障がい等級2級であることや、過去に県内のスーパーで同様の痴漢をしたり、コンビニエンスストアで店員に下半身を見せつけたりして、罰金刑を命じられ『前科二犯』だったことなども語られた。

恐怖の犯行当時の様子…

画像:写真AC

検察側からは、被害者への聞き取りで分かった犯行当時の恐怖の様子も明らかにした。

満員に近い状態の電車内で、友人といる際に男が乗って来て、股間が異常に盛り上がっていたこと。「はぁ、はぁ…」と荒い息をしながら後ろに近づいてきて、尻の真ん中あたりに固い何かをあてられたこと。逃げたものの追いかけられ、手に股間を押し付けられたことなど。

画像:写真AC

その後、被害者は満員電車自体や、被告の男のような年代の男性を見るだけで恐怖を覚えるようになったとした。

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