厚生労働省は、6月5日、令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況で、全国の合計特殊出生率が、前年の「1.26」より悪化した過去最低の「1.20」であると発表した。また、東京都の合計特殊出生率は「0.99」と1を切った。

これを受け、5日に行われた内閣官房長官記者会見で、林芳正内閣官房長官は、少子化の要因について「経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなど、個人の結婚や出産子育ての希望の実現を阻む、様々な要因が複雑に絡み合っている」との考えを述べた。

一方で、厚生労働省が3月に発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の月額賃金は、前年比2.1%増の31万8300円になったとのことだ。名目賃金は3年連続増も、実質賃金は2年連続の減少となった。

また、この統計調査を利用して当社が独自に集計した年収では、全国平均で437万円、男女別では、男性が570万円、女性が400万円となった(算出方法については、記事の最後に掲載しています。また、年収ランキングは画像で掲載しています)。

男性の平均年収570万円の現実…平均値の罠

平均年収の数字を見て、高いと思うか、低いと思うかは人それぞれだと思うが、「平均」であることに着目してほしい。

この平均値の年齢は、43.9歳。

年功序列の給与形態が色濃く残るこの日本では、20代、30代はこの平均には達していない。これは統計上の数字を見ても明らかだ。

また、都道府県別で言えば、この平均値を上回っているのは、わずか6都府県で、栃木県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県しかない。残り全ては平均以下だ。

男女別の「平均」初婚年齢と「最頻値」

男女共同参画局のホームぺージによると、2020年の女性の初婚年齢の「平均値」は29.4歳だが、婚姻が最も多かった初婚年齢の「最頻値」は26歳とのこと。つまり、平均年齢と最頻値とには約3歳の乖離がある。

また、男性についても同様の傾向が見られ、2020年の初婚年齢の「平均値」は31.0歳、初婚年齢の「最頻値」は27歳。

この初婚年齢の「平均値」と「最頻値」の間に乖離が生じた理由は、一部の中高齢者の結婚が「平均値」を大きく引き上げているため、とのことだ。

都道府県別の30歳の平均年収は…?

「平均値」と「最頻値」に乖離があるものの、ざっくり言うなら、男女とも30歳ほどで多くの人が結婚している状況。

では、先に述べた平均年収での年齢の「43.9歳」と、この初婚年齢の平均値「30歳」とを比べてみると、見てのとおり大きく異なることがわかる。その差はなんと「約14歳」の差。

そこで、「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに、平均初婚年齢の「30歳」における平均年収を当社が独自に集計したところ、男性が437万円、女性が365万円となった(算出方法については、記事の最後に掲載しています。また、年収ランキングは画像で掲載しています)。

ただし、これも先に述べたことと同じだが、上位の東京都や神奈川県、大阪府が平均を引き上げていて、他の多くの道府県はこの平均に至っていない。

例えば、東京都の場合は、全体平均では男性654万円、女性458万円だが、30歳の平均年収でみると、男性501万円、女性418万円という結果になった。

平均を下回る愛媛県の場合は、全体平均では男性500万円、女性351万円だが、30歳の平均年収でみると、男性383万円、女性320万円という結果になった。

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