去年3月、兵庫県相生市の中学2年の男子生徒が自殺した問題で、問題を調査していた外部の専門家からなる第三者委員会は36件のいじめがあったと認定し「自死に至ったのは、いじめが最も有力な要因であった」と結論付けました。

 去年3月、兵庫県相生市の市立中学に通う中学2年の男子生徒が自宅で自殺、相生市教委は「重大事態」と認定し、弁護士などで構成される第三者委員会が自殺の原因などを調べていました。

 8日、第三者委員会は調査報告書を公表し8日午後から会見を行っています。

 第三者委は男子生徒が中学1年生から中学2年生の時期にかけて、同級生などから「変態」や「きもい」、「死ね」と言われたり、掃除の時間に他の生徒から箒でこづかれたり、殴られたりするなど36件のいじめを受けていたと認定。

 そのうえで、第三者委は「いじめは悪質かつ深刻な状況」、クラス内の生徒からスクールカーストの底辺に置かれていた状況で、生徒へのいじめは長期間に及び、大胆かつ悪質になっていったことから、生徒が自死に至ったのは、いじめが要因であった」と結論付けました。

 また、第三者委は当時の学校側や教育委員会での対応も問題であったと指摘しています。



【第三者委が認定していじめの内容や指摘部分など】

・中1年生の時に、亡くなった生徒は、同級生らから「変態」「きもい」と言われていた

・中学2年生になって以降も、「きもい」「うざい」などと言われるいじめを受けていた。スクールカーストで言えば底辺になっていたと考えられる

・日常的に複数の生徒からいじられていて、周囲の生徒は傍観者とみられる

・中学2年の1学期の終わりごろ、クラスで既に孤立化の段階に至っていて、特定の生徒からの暴力により、無力化に至りつつあった

・その後、中学2年の2学期以降は「死ね」という言葉を浴びせられたうえ、複数の生徒からも同様の発言

・中指を立て、殴ったりするなどいじめがエスカレートしていき、羽交い絞めにして首を絞める行為

・2学期後半にはいじめがさらにエスカレート、『教室で椅子を蹴られる』『休み時間に無理やりズボンをずらされそうになる』『頬を拳で殴られる』などの行為が行われ、周囲の生徒は『見て見ぬふり』の状態

・また生徒は部活動においても同級生から「きもい」「気持ち悪い」などの陰口を言われ、同級生から孤立、また後輩の部員からも呼び捨てにされたり、命令口調で怒鳴られ、嫌みも言われるようになる

・またある後輩生徒を中心に校門から学校外に出られないようにする行為

・その後、中学2年の3学期以降もいじめがやむことなく、クラスや部活でも継続していじめを受ける

・『トイレの洗い場で水をかけられる』『首を掴まれ教室の窓から下に落とされそうになる』『教室で十字固めされる』『部活でラケットで殴らる』などの行為

・生徒の無力感はより一層増強されていったとみられる

・さらに、校外学習の際に利用したバスの中で別の生徒から写真を無断撮影をされて、「変態」の文字と共にSNSに載せられ、フォロワーらに拡散。調査報告書ではこのSNSでの行為が決定打を及ぼしたと言及し、人格を完全に踏みにじる行為であったと指摘

・このSNSでの件については学校側も認知し対応をしているが、当時の対応は不十分であったと言及

・その後も、「きもい」などと指摘されるなどのいじめを受け、部活動の同級生らに対して「一緒に帰ろう」と言ったが断わられるなど、ひどい孤立感を覚えさせたと指摘

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。