「熊本は『夏が暑くて冬は寒い』とよく耳にしますが、なぜそうなのでしょうか?」という疑問について、気象予報士の坂本くるみアナウンサーが詳しく説明します。

視聴者から寄せられたのは「子どものころから『熊本は盆地だから、夏は暑くて冬は寒いんだよ』と聞かされていましたが、それがなぜなのか分からないまま大人になりました。なぜなのでしょうか?」という疑問。

熊本の夏は暑い

実際に8月の平年の最高気温を見てみると、「熊本市 33.3度」「宮崎市 31.6度」「鹿児島市 32.7度」で、熊本より南にある宮崎や鹿児島を抑えて、熊本の方が高いです。

そして2月の平年の最低気温を見ると、「福岡市 4.4度」「大分市 3.0度」「熊本市 2.6度」で、福岡や大分よりも熊本の方が低くなっています。

気温を見ると「夏は暑くて、冬は寒い」わけですが、実は熊本市は正確には盆地ではなく平野です。ただ、熊本市の西側に金峰山があることで盆地的な気候になっています。

金峰山が海風を遮る

昼間、地面と海水とで暖まりやすいのは地面の方です。海水は暖まるのに時間がかかります。

地表付近で暖まった空気は軽いのでどんどん上昇し、結果的に地表付近では、「海から陸」に向かう空気の循環が出来ます。

海からの冷たい風が入ると気温の上昇は抑えられますが、熊本市の場合は金峰山があることで海風が遮られてしまいます。だから気温が上がりやすいのです。

金峰山がなかったら?

RKKが14年前に取材したニュースの中で、「もし金峰山がなかったら熊本市の気温は下がるのか」というシミュレーションを取り上げていました。

「下がる」という結果がでました。また、風速も約1m増すことで体感温度は、1~1.5度下がるということです。

熊本市の冬はなぜ寒い

では、冬はどうなのでしょうか。

熊本市の冬がなぜ冷え込むかというと、風が弱いと「※放射冷却」が強まりやすく、また冷たい空気は重たいので、阿蘇や金峰山の斜面に沿って、冷たい空気がたまりやすいからです。

※「放射冷却」って?
物が外へ熱を出して(放射)冷える(冷却)ことを放射冷却と言います。
天気予報で「今夜は放射冷却により冷えこむでしょう」と言っていた場合、主に地面の放射冷却を指しています。地面が冷えるために地面の近くの空気が冷やされ、気温が下がる、という意味です。特に、風が弱く晴れた夜は、冷えた空気が周りの空気と混ざりにくい上に、地面の熱は雲によってさえぎられることなくどんどん空へ出て行くので、冷え込みます。(気象庁HPより)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。