6月に始まった「定額減税」。パートで年収130万円以下の妻の減税は夫婦どちらの給与からなのか?定額減税で引ききれない場合の「給付」とは?ふるさと納税への影響は?ギモンを税理士の田淵宏明さんに聞きました。意外な落とし穴や注意点もあるようです。

◎田淵宏明:税理士法人Five Starパートナーズ代表税理士。登録者38.9万人の税理士YouTuberとしても活動

扶養家族3人の4人家族なら16万円の減税 ただし対象外の人も

ーーー定額減税が6月に始まりました。1人4万円、所得税や住民税から税金を払う額が減るということで、基本的に納税者にとってはうれしい話ですよね?

(田淵宏明さん)「減税になるのでもちろんいいことです。所得税3万円と住民税1万円、これ毎月ではないのでご注意です。1年間で4万円です」

ーーー扶養家族も対象になりますので、扶養家族が3人、例えば妻とお子さん2人の4人家族の場合、1年間で16万円となります。ただし給与収入が2000万円を超える方は対象外です。さらに住民税非課税世帯の方も、減税ではなくて7万円の給付を受けられますので対象外です。元衆議院議員の豊田真由子さんにお聞きしますが、制度としては批判の声もあるようですね?

(豊田真由子さん)「国民の方の受け止めとしては、電気代とかも含め物価高なので消費に回すというよりはマイナスを埋めるってことだと思います。金額がそんなに大きくないということと、これを作るための行政コストと給与明細に記載という民間の方にかかったコストを考えたら、トータルマイナスなのではないかと思います」

ーーー税理士のみなさんも今すごく仕事量が増えているようですね?

(田淵宏明さん)「そうですね、我々の業務量は増えてますし、それで何か追加でオプションをいただけるわけじゃないので本当に労力だけが増えるという感じですね」

パートで働く妻の減税は夫婦どちらの給与から?境界は『103万円』

―――番組の視聴者から定額減税についてこんな質問がありました。『パートで年収130万円以内で働いています。定額減税は夫の給与からでしょうか?私の給与からでしょうか?』お財布が別の夫婦だと「これは大変」となることがあり得るわけですが、この場合どうなるのでしょうか。ちなみに103万円の壁や130万円、150万円など、さまざまな「壁」があるんですよね?

(田淵宏明さん)「いろいろな『壁』がありますが、定額減税ではどこを見るかというと『給与収入が103万円以下』なんです。配偶者の方は年末調整や確定申告をするときに150万円というラインがあるんですけれども、それとは違うというところが間違いやすいポイントですね」

16歳未満も減税対象 しかし雇用先が子どもの存在を知らない場合も!

ーーー扶養家族の話に関して、16歳未満の子どもは扶養控除については対象外なんですよね?

(田淵宏明さん)「対象外です。昔は年少の扶養親族の方も対象だったんですけど、子ども手当や児童手当とともになくなってしまったので。現在、年末調整や確定申告で扶養控除が受けられるのは16歳以上の方だけになっています。とはいえ、扶養控除だと1人38万円とか63万円の控除を受けられますので、それに税率をかけても数十万円になります。所得が高くて児童手当しかないという方からすれば断然、扶養控除が有利なんです」

ーーーただ今回の定額減税は、扶養控除の対象外である16歳未満の子どもも含まれるんですね?

(田淵宏明さん)「含まれます。定額減税に限りカウントされるので、会社勤めの方は気をつけないといけないです。年末調整のときに扶養控除等申告書を出しますよね。あの情報でいくと16歳未満の子が除外されたままなので、定額減税の源泉徴収のための申告書のようなものに16歳未満のお子さんの氏名・生年月日などを書いて提出しないと反映されません。この点は気をつけていただきたいと思います。もし万が一申請が漏れていたという方はチャンスが1回あります。年末調整までにこの情報を出せば6月以降の定額減税はされませんが、最終的に年末に減税はしてもらえます」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。