世界遺産登録に関するイコモスの勧告には4段階あります。
登録がふさわしいとする「登録」、そして「情報照会」・「登録延期」・「不登録」です。

今回、『佐渡島の金山』に対してなされた「情報照会」は、追加で情報の提出を求めるものですが、あくまでも諮問機関としての“勧告”であり、登録の正式決定は7月に開催される世界遺産委員会での議決に委ねられます。

「情報照会」としてイコモスから主に求められたのは以下の3点です。
○相川上町の北沢地区を資産範囲から除くこと
○「相川鶴子金銀山」の緩衝地帯を沖合に拡張すること
○鉱業権の所有者が商業採掘を再開しないこと

「相川上町・北沢地区」の除外

このエリアで有名な「北沢浮遊選鉱場」自体は昭和初期の施設であるため、資産の範囲にはもともと含まれていませんが、江戸時代の資料では、この地区で金の生産が行われていたことが描かれ、生産に携わっていた人たちの居住地だったと示されています。また、当時使っていた道具が地中から出土していることから、これらをあわせて推薦書では、金山の価値を説明する場所として北沢地区を資産範囲に組み込んでいました。

これについてイコモスは、北沢地区は「江戸期より後の証拠が大部分を占める」として、今回の勧告では資産範囲から除外することを要請しています。

「相川鶴子金銀山」の緩衝地帯

ここでいう緩衝地帯とは、推薦資産の保護を目的とした周辺エリアのことを指しますが、今回の勧告で念頭にあるのは「洋上風力発電」です。
現状で海上1kmほどに設定しているこの緩衝地帯をさらに沖合に拡張し、風力発電施設などの設置を制限すべきとしています。

「商業採掘」について

佐渡鉱山では、平成元(1989)年まで採掘操業が行なわれていました。
採掘に携わった佐渡金山(株)はその後、「史跡 佐渡金山」を運営する『ゴールデン佐渡』に吸収合併されたため、現在鉱業権を所有しているのは『ゴールデン佐渡』になります。
イコモスは勧告の中で、「商業採掘」を再開しないという“明確な約束”を鉱業権の所有者が示すように求めています。

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