梅雨入りを前に「最新の消防救助装備」を調査しました。

全国で毎年発生する災害を受けて、装備や訓練への意識が変わってきています。

土砂や水の中でも要救助者を見つけやすく

熊本市消防局に配備されたのは、人命救助のためのドローンです。

熊本市消防局 予防部 土村雅彦さん(42)「災害現場で早期に要救助者の状況を把握することが可能になった」

温度を感知する「サーモセンサー」がついていて、土砂や水などで状況がわかりにくい場所でも要救助者を見つけやすくなりました。


このドローンは3年前、静岡県熱海市で起きた土砂災害の捜索活動が難航したことを受け、消防庁が全国の消防に配布したものです。

実際、熊本市では去年12月、川に転落した女性を探すためにこのドローンが活用されました。

土村さん「(ドローンを)有効活用できるように日ごろから訓練して、苦しんでいる要救助者の方をいち早く探し出して命を助けるということが一番の目的」

土砂の動きを監視して二次災害を防ぐ

さらに、熊本県内唯一の救助のエキスパート集団である熊本市消防局・中央消防署の「特別高度救助小隊」を訪ねました。救助隊の中でも、高度資機材を取り扱う小隊です。

今年、この小隊に導入された最新の装備は、土砂災害の現場などで捜索にあたる隊員の二次被害を防ぐためのものです。

土砂監視センサー

熊本中央消防署 中央特別高度救助小隊 山本祥也さん(44)「“土砂監視センサー”といって、土砂崩れが起きた現場にレーザーを当てて、(二次災害の)動きがあった時に警報音が鳴り、活動している隊員が退避できる」

この装置は、捜索する隊員の近くで土砂崩れや家屋の倒壊などにつながるちょっとした動きを、いち早く感知することができます。

その他にも、倒壊した家屋や土砂崩れの現場で、要救助者を音で見つける装置『地中音響探査装置』もあります。当然、これらの最新装備を使いこなすのは「人」です。

熊本市消防局 消防司令長 吉本直樹さん(58)「(救助の)選択肢を広げるために毎日訓練をして、さらに積み重ねていく。その積み重ねが大事」

そう話すのはベテラン消防士の吉本直樹(よしもと なおき)さんです。

豪雨の避難誘導などを担当していた吉本さん、近くで市民と接する消防士として強い思いがありました。

吉本さん「(災害現場で)死を覚悟するけど、死ぬ思いの訓練をして、そういう裏付けの中で『絶対に助ける。絶対に帰ってくる』と」

装備とともに欠かせない「技術と思い」

先月、5年ぶりに訓練の成果を示す大会『消防救助技術大会』が益城町で開かれました。熊本県内各地の消防から約320人が参加。

最新の装備だけに頼らない、消防としての基本をぶつけました。

6月に入り災害が発生しやすい梅雨が近づいています。万が一の時、災害の最前線に駆けつける準備を続けています。

熊本西消防署 本田健悟さん(35)「最近の災害は複雑化しているが、一番大事なのは道具よりも気持ち。人を救いたいという気持ちは原点として思っている」

吉本さん「消防士だからでしょうね。人を助ける使命感というか、オレンジ(救助隊のユニフォームの色)のプライド」

まもなく本格的な雨の季節を迎えます。

「救う側」だけでなく、私たち一人一人の準備も重要です。

6月8日(土)午後4時からRKKテレビでは「“豪雨”そのときあなたは、どうする~早期避難が救う命~」でも豪雨災害への備えについて詳しくお伝えします。

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