戦闘が激しさを増しているパレスチナのガザ地区で医療活動を行った女性医師が、6日、札幌市で、特別授業を行ないました。

札幌の子どもたちに静かに語りかけます。

 国境なき医師団日本 中嶋優子会長
「家に爆弾が落とされて、自分も大けがをした。お父さんもお母さんも…兄弟もみんな、そこで死んでしまった…これからの人生、どうすればいいだろう…と思っちゃうよね」

国境なき医師団日本の中嶋優子会長です。

 救急医でもある中嶋さんは2023年の秋、イスラエル軍の侵攻が続くパレスチナ・ガザ地区で、3週間あまり医療活動を行いました。

札幌医科大学を卒業した縁で、札幌市で「いのちの教室」を開きました。

 国境なき医師団日本 中嶋優子会長
「医療物資とか機材とか、いろいろ運んでくるけれども、戦争がある限りは、やってもやっても追いつかない…それをすごく感じました」

 中嶋さんが活動したのはガザ地区南部、人口40万人のマチ、ハンユニスのナセル病院。毎日、戦争で生死をさまよう子どもたちが運ばれてきたといいます。

国境なき医師団日本 中嶋優子会長
「あまりの悲惨さが、今まで参加してきた医療活動とあまりに違いすぎて、ここまで自分が精神的なダメージを受けると思っていなかった」

戦況の悪化で、ガザを出ざるを得なくなった中嶋さんは、罪悪感であふれ、自分の無力さを痛感したといいます。

そんな中嶋さんは、子どもたちに戦争で薬が一つしか残っていない場合『“政府側”“反政府側”…どちらの患者を救いますか』と問いかけました。

 児童
「どっちも助けたいけれど…どちらかは決められない」

国境なき医師団日本 中嶋優子会長
「こういう状況…多いんだ、実は」

児童
「じゃあ、一人見捨てないといけないの?」

国境なき医師団日本 中嶋優子会長
「うん…なるべく見捨てないように頑張るけれども…」

女子児童
「テレビで見ていたよりも、辛い感じがして心に刺さりました」
男子児童
「小さいことでも、世界のためになるようなことをしていきたい」

国境なき医師団日本 中嶋優子会長
「もっと親近感をもってもらえるようなふうに、伝えられればいいと思います」
「もっと関心を持って、なんとか自分が何ができるかっていうことを考えてもらったりとか…」

 中嶋さんは、北海道に住む人たちにも戦争を止めるために、自分ができることを考えてほしいと話しています。

遠くの出来事ということではなくて、この平和のために何ができるのかを、今回の「命の教室」が考えるきっかけになってくれたら…と思います。

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