夏の風物詩、花火大会にも値上げが直撃しています。開催日数の短縮、さらには中止に追い込まれる所がでてきています。

夏の花火大会 予算が足りない 火薬や人件費が高騰

井上貴博キャスター:
これまでは昔からの付き合いなど地元企業の善意で運営してきたという花火大会も多く、これからは“無料で見る”ものから、“お金を払って見る”ものに変わっていくかもしれません。

火薬の原材料は日本では少なく、海外からの輸入に頼っています。円安の影響をもろに受け、原材料費の高騰も相まって、1玉あたり2割〜3割、値上がりしているということです。

打ち上げの数を減らす考えもありますが、減らしすぎると花火大会としての魅力が減ってしまうため、花火玉を小さくしたり、演出の方法を変えたりして試行錯誤を続けています。

原材料価格とともに、人件費も上がっています。

静岡・浜松市の「遠州はまきた飛竜まつり」では、開催日を短縮しました。例年2日間開催していましたが、今年は1日に減らしました。資材・警備などの人件費が高騰し、300万円〜400万円の赤字の見込みだったため、開催日を短縮することになったそうです。

外国人観光客が増え、無断駐車などをされると、警備員を派遣しなければならないため、警備費用がかさ増しされていくということです。

浜松市職員
「去年4年ぶりに開催すると、外国人観光客がかなり増えていて対応が大変に」

そのため、翻訳アプリでの対応も行っていますが、なかなかうまくいかないということです。

有料席で協賛募集も「限界が」

福岡・北九州市の「くきのうみ花火の祭典」では資金が900万円不足しているため、有料席を設けることにして、様々なプランも用意しています。

・有料席 5000円・3万円
・花火つくり体験 5万円(12席)
・花火の発射体験 30万円(1席)など

現在の予約は113万円分で、不足分をまかなえていませんでしたが、地元企業が追加の協賛を行い、先月30日に今年の開催を決定しました。

北九州市職員
「企業からの協賛金集めもギリギリで、いつまで開催できるかわかりません」

一方で、泣く泣くというケースが、長野・諏訪市の「全国新作花火競技大会」です。コロナ禍を含めて2020年からの5年連続の中止が決まりました。

実行委員会によりますと、21社中13社が“協賛金の見直し”、“協賛できない”ということで約1800万円赤字の見通しになり、今年も中止を決めたということです。

ホラン千秋キャスター:
花火大会は無料で見ることができますが、良いところから見たい場合は良い席を取るということは毎年されていると思います。それでも厳しいほど円安や人件費の高騰が直撃しているのですね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
原材料の高騰もありますが、花火師の技術が詰まっているので、その技術に対してしっかりお金を払うという文化ももっと広がっていいのではないかと思います。

地元の宮崎・延岡市にも花火大会があり、開催時期が近づいてくると、あらゆるお店に募金箱が置かれます。私も募金するようにはしていますが、赤字だと続けていけないので、黒字化する方法をみんなで考えていきたいですね。

ホランキャスター:
無くなってしまうと寂しく感じてしまうと思うのですが、気持ちだけではどうにもならない部分もありますからね。

ふるさと納税で花火大会を守る 宿泊券・特産和牛を返礼

井上キャスター:
ボランティアだけではなく、ビジネスとしてうまく回す方法も考えないといけないのかもしれません。

クラウドファンディングなども増えています。ふるさと納税で、「花火大会」を支援する取り組みです。

【下呂温泉まつり】(8月1日~4日開催)
・返礼品(寄付10万円) 宿泊利用券3万円分
・返礼品(寄付2万円) 飛騨牛モモステーキ400g
・返礼品(寄付2万4000円)飛騨産の米(龍の瞳)5kg

寄付額に応じて花火大会を支援できるということです。クラウドファンディングなどで応援していく動きも広がっていくのかもしれません。

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<プロフィール>

松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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