学校給食をめぐって毎月支払う地域がある一方で、独自に無償化を実施する自治体もあります。こうした格差が広がることに疑問の声が上がっています。

自治体によって対応分かれる給食費の無償化

大分県由布市内のスーパーで行われた署名活動。呼びかけているのは、有志で立ち上がった団体「由布市の学校給食無償化を考える会」です。

外西智子代表:
「何で由布市は給食費が無償化にならないのかなというつぶやきから始まった」

由布市の毎月の給食費は小学校が4500円、中学校が4900円。物価高騰で家計の負担が膨らむうえ、全国で無償化が進む中、外西代表たちは今年1月から署名活動を展開。子育て世代を支えようと60代以上のメンバーが大半を占めています。

外西智子代表:
「私たち高齢者も子どもたちの元気な姿をずっと見ていきたいので後押しをしている。日本全国どこに住んでも平等に無償化がどんどん広げられるんじゃないかと思って活動している」

参議院で示された調査では、全国およそ1600の自治体の3割にあたる451の自治体が給食費の無償化を実施。大分県内では豊後高田市、宇佐市、姫島村、日田市の4つの市と村で完全実施されていて、自治体によって対応が分かれています。

大分市立南大分中学校の給食

大分市では今年1月から市立中学校の給食費を無償にしました。年間予算は7億5000万円。中学校だけ実施したのは、小学校より学習塾や部活動など学習費の負担が大きいと判断したためです。

大分市教委体育保健課 三島浩昭課長:
「小学生は中学生の倍の6学年あるので、財源の問題が大きな課題。安心して子育てできる環境は構築したいと思っているので中学生の分については続けていきたい」

無償化にすると、しわ寄せが…

由布市で給食の無償化を求めるメンバーは28日、市役所を訪れ、相馬市長に陳情書と5670人分の署名を提出しました。

相馬尊重市長

相馬尊重市長:
「1億円を超える財政負担が毎年のしかかってくることになると、ほかの財政との調整を図りながら検討しないといけない。やりたいのはやまやまなんですけど…」

メンバー:
「自治体間で格差が生じている。お金がかかるかもしれませんが、市が良い方向にむかうために無償化を望んでいる、その証拠がこの署名なんです」

相馬尊重市長
「国に対して、ある程度支援するべきと働きかけているが、どうも腰が重たい。お金があればすぐにやるのですが、将来的な財政計画を見ながら研究していきたい」

メンバー: 
「これは意思決定の問題で、どこに重点に置くのかということだと思うが」

相馬尊重市長:
「無償化にすると、どこかにしわ寄せが出る事態になる。単年度ならできるが、長いスパンで検討しなければならない」

無償化をめぐっては住む場所によって保護者の負担に差が生じているのが現状です。専門家は給食も教育活動の一環であり、機会均等の観点から国の責任で無償化すべきと指摘します。

大分大学教育学部 住岡敏弘教授:
「全額公費が支払われるのと保護者が負担するのとでは不平等は否めない。無償化の恩恵は子どもにかえってくるので、優先度は非常に高い」

外西智子代表

外西智子代表:
「地域差がどんどん出てくるので、日本のどこに住んでも、同じようにのびのび子どもがおいしい給食を食べられることになることが一番いいと思う」

政府は給食の無償化について現在検討を進めていて、6月以降に結論が示される見通しです。格差が広がらないためにも無償化する意義は大きいといえそうです。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。