栃木県那須町で高校生らが雪崩に巻き込まれ死亡した事故で、教諭ら3人に対し、30日、判決が言い渡されます。「事故を教訓として残したい」。判決を前に、わが子を亡くした遺族の訴えです。
奥勝さん
「何をするにしても、なかなか最初は人並みにはできないけど、それでも努力して人並みに何でもできるようになっていく、そんな子でした」
奥勝さん(52)。16歳だった息子の公輝さんを雪崩事故で亡くしました。
事故は2017年、栃木県那須町の雪山で発生。登山訓練をしていた県立大田原高校の生徒ら8人が雪崩に巻き込まれ死亡しました。
事故から7年、公輝さんの遺骨は今も自宅にあります。
奥勝さん
「一緒にずっと暮らしているような雰囲気を感じながら生活したいなと思って、こうしています」
おととし始まった刑事裁判。教諭として引率をしていた、▼猪瀬修一被告(57)、▼菅又久雄被告(55)、▼渡辺浩典被告(61)の3人が業務上過失致死傷の罪に問われています。
争点は「雪崩の発生が予想できたか」どうか。これまでの公判で被告3人は「雪崩が起きるとは思わなかった」などと無罪を主張してきました。
息子を亡くした奥さんにはこの裁判を通じ、「事故を教訓として残したい」という強い思いがあります。
奥勝さん
「安全確認もせずに無謀なことをする。教育現場や部活動でそのようなことをするというのは犯罪行為なんだと。そこがちゃんと教訓として残るというのが希望でした」
一方で県は2017年、事故の最大の要因について「計画全体のマネジメントや危機意識の欠如」などとする検証報告書をまとめました。
奥さんはこの報告書では当時の状況を「全く理解できなかった」と訴えます。
奥勝さん
「もうわからないですよね。この辺りで事故があって、この辺に埋まりましたって。なんでここに(雪崩が)流れていくんだろうとか全然わからなくて」
事故の教訓を残すため、奥さんは自ら作成したソフトで現場の雪山を再現し、ネット上に公開。バーチャル空間で当時の状況を体感できるというものです。ロボットを操作すれば、雪崩が直撃した現場にも足を運ぶことができます。
こうした取り組みについて「執念だ」と、奥さんは語ります。
奥勝さん
「(事故を)後から振り返れるようにしっかりと残していきたいという思い。やっぱ執念だなと思いましたね」
検察は3人の被告に対し、禁錮4年を求刑。奥さんも求刑通りの実刑、そして事故の教訓が残るような判決を期待しています。
奥勝さん
「きっとこの判決が出ると一段落つけることができて、ようやく息子の冥福をただ心穏やかに祈ることができる。そんな日々が来るんじゃないかなという期待感を持って過ごしている」
判決は30日午後、言い渡されます。
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