ミスをしてしまったり、思ったような結果が出なかったりすると、ついつい「はぁ」とため息をついてしまいがちですが、実は「フキハラ」というハラスメント行為にあたるかもしれません。

「ため息が迷惑」SNS投稿多数 不機嫌ハラスメントとは

熊崎風斗キャスター:
SNS上には「フキハラ」について様々な声がありました。

「ため息って不機嫌そうなのが雰囲気で伝わってくるのが苦手」
「仕事でミスしたら、お局様にわざとらしいため息つかれた」
「家族のため息とか心底聞きたくない。ストレスでしかない。あーーーーーストレス」

フキハラとはどういうものなのでしょうか。日本ハラスメント協会 村崎要代表理事に伺いますと、「意図的なため息や過度にため息をつく行為。不機嫌ハラスメント=“フキハラ”にあたる可能性も」ということです。

どんな「ため息」が“フキハラ”?

“フキハラ”はセクハラ、パワハラ、マタハラなどの国が認定しているハラスメントには該当しませんが、不機嫌な態度や表情で相手に精神的な苦痛を与えるものを言います。

【こんな行為が“ため息フキハラ”】(日本ハラスメント協会によると)
・相手の考えに対し、繰り返しため息
・相手に向かって認識できるようにため息
・不満、イラついていることを周囲に“気づいてほしい”ため息 など

ため息をつく側が意識していたとしても、無意識だったとしても感じる側がどうなのかというところが他のハラスメント同様、大事になってくるポイントです。

萩谷麻衣子弁護士:
「ハラスメント」は嫌がらせ、いじめなどという言葉に相当するものなので、嫌だなと思っていてもそれだけでハラスメントになるものでもないと思います。しかし本人が意識していなくても、一般的に見て、“それは嫌がらせ行為だよね”と思えるような程度になればハラスメントになると思います。

だから、ある程度繰り返し特定の人に向けてため息をついたら、それはハラスメントになるような行為になります。

ホラン千秋キャスター:
ため息は一つの行動だと思うのですが、フキハラにも入るかもしれないし、パワハラやモラハラにも入り得ると思っています。パワハラ気質・モラハラ気質がある方がすごく怖い人だと、ため息をしているだけで、“悪いことしたのかな”、“なんでこの人、こんな不機嫌なんだろう”と思って、心臓がバクバクしたり、冷や汗をかいてしまったりすることがあります。全部のため息がそうとは思わないですが、誰がどんなときにしているかによって結構違いがあると思います。

どんな人が“フキハラ”?

熊崎キャスター:
状況によっては言葉で言われるよりため息の方が怖いんじゃないかと思うようなシーンもあります。

日本ハラスメント協会 村崎要 代表理事によると、「管理職クラスの人がフキハラをしやすい」ということです。

管理職の人で、説教や説明がパワハラになるかもしれないと心配している方が非常に多く、言葉選びの難しさもストレスになり、結果的にため息として放出されるケースもあるそうです。

また、家庭で言い合いが起きた際、“言い合いを終わらせたい。察してほしい”と思った時にため息が出てしまうことがあるとのこと。ただ火に油を注ぐだけのような気もするのですが…

ホランキャスター:
言葉にしてもしなくても、結局ハラスメントになり得ると考えると、伝え方が難しい時代ですね。

萩谷 弁護士:
ハラスメントにならなくても、ため息をつかれると仕事などで、マイナスな気持ちが出てしまう時もあります。しょうがない時もありますが、気遣いも大事かなと思います。

そもそも「ため息」とは

熊崎キャスター:
しかし、生きていればため息をつきたくなることもきっとあるかと思います。

精神科医・産業医の井上智介医師曰く「ため息はストレスを解消するための生理的なもの」のため、ため息は全部が全部、否定されるべきものではありません。

(1)姿勢を正し、息を吸う
(2)6秒以上かけて息を吐く

このようなため息だと深呼吸に近いため、周りの人が不快にならず、リラックス効果もあるので良いのではないでしょうか。

ただ、ため息が多いと心の病のサインの可能性もあるので、しっかり察知することが大事なポイントです。

【意図的にため息をつく人】
・権力アピール
⇒不満を示し自分の意見を通しやすくする

・話しかけるなアピール
⇒今以上に仕事を振られないようにする

・頑張っているアピール
⇒つらい・しんどいをわかってもらいたい

【“不快”に感じた際の対処法】
・会社
⇒テレワーク・メールなど物理的な距離をとる

・家庭
⇒ため息をされてもリアクションしない

井上キャスター:
関係性もありますね。今では“ハラスメントハラスメント”という言葉もあります。ハラスメントが怖くて、後輩を指導しないとそれはそれで指摘されるという。もうどこに歩めばいいのか…

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<プロフィール>

萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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