昨年4月の東京都江東区長選を巡り、柿沢未途元衆院議員(53)=公選法違反罪で有罪確定=と共謀して自民党区議らに現金を提供したなどとして、同法違反(買収)罪に問われた元私設秘書後藤周被告(38)に、東京地裁は28日、「選挙の公正が大きくゆがめられた」とし、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡した。

江東区役所(資料写真)

 野村賢裁判長は判決理由で、提供した現金には、柿沢元議員と対立していた当時の現職区長支持でまとまっていた自民区議の切り崩しと、元議員が支援していた前区長木村弥生被告(58)=公判中=の支援を依頼する趣旨があったと認めた。後藤被告は元議員と自民、木村被告の関係を知っており、こうした現金の趣旨を「明示されなくても認識していた」と判断した。  後藤被告は区長選と同日実施の区議選の「陣中見舞い」だったとして無罪を主張したが、判決は「信用できない」として退けた。その上で「実際に現金を提供するなど犯行に不可欠な役割を果たしており、元議員の指示を受けた犯行であることを踏まえても、刑事責任は軽くない」と述べた。  判決によると、後藤被告は柿沢元議員らと共謀し、昨年2月、木村被告を当選させるため自民区議ら5人に計100万円を提供し、別の自民区議3人に計60万円の提供を持ちかけて、同1~5月、木村陣営スタッフ4人に選挙運動の報酬として計約57万円を提供した。(中山岳) 

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