身寄りのない独り身の人が亡くなった後の火葬や納骨について、現状は自治体が担っていますが、高齢者が増えるにつれて負担が大きくなっています。そんな中、神戸市が今年6月から身寄りのない人に向けた新たなサービスを始めます。
まずは『終活』について街の人に聞きました。
(90歳)「私は終活していますね。身辺整理をして、もうすることないぐらい。いつ亡くなってもいいようにしています」
(84歳)「息子に迷惑かけないように、いつ死んでも葬儀費用は一切かからんようにしています」
一方でこう話す男性も。
(75歳)「急やったら葬儀もどないしたらいいかわからへんのちゃうかな。子どもがおれへんから。甥に金を渡すからあと頼むでー、と。金で釣る」
終活を実際にしたり少なくとも意識したりしている人が多いようですが、家族のかたちが変化している昨今、増えているのが「無縁仏」。神戸市墓園管理センターで安置されているのは、神戸市内で死亡した身元不明の人や、身元がわかっていても引き取る人が見つからなかった遺骨、約2700柱です。
(神戸市墓園管理センター 宇治仙士係長)「毎月50柱ぐらい、年間で600柱ですね」
墓地埋葬法では、身元がわかっていても引き取り手がいない場合、死亡した場所の自治体が火葬して遺骨を保管することになっています。神戸市では、遺骨を5年間保管した後、市内の無縁墓地に納めています。
(神戸市墓園管理センター 宇治仙士係長)「ひとり暮らしの方、結婚されない方も増えていますので、引き取り手のないまま亡くなられる方が増えていくのでないかと思っております」
実際、ここ15年でこうした無縁遺骨が3.7倍に急増。本人がひとり暮らしの場合、戸籍などをたどって身寄りを探すのにかなりの手間がかかるほか、火葬や保管の費用も年間1000万円以上に膨らんでいるといいます。
(神戸市斎園管理課 中村肇課長)「(身寄りがない場合は)行政による火葬を行なっておりまして、ご自身の意思にかかわらず、火葬・無縁遺骨の方にいってしまう。この墓地埋葬法による件数が増えておりますので、その分コストも増えていますし、何よりもそういった方が今後増えていくと思います」
そこで神戸市が新たに始めるのが『エンディングプラン・サポート事業』です。主に頼れる身寄りがない人を対象に、希望する葬儀や納骨の生前手続きを市がサポートするというものです。
この事業を全国で先駆けて導入したのが神奈川県横須賀市。市の職員が安否確認なども兼ねて定期的に自宅訪問を行なっています。
【登録者と横須賀市職員のやり取り 2023年】
(市職員)「認知症の改善(予防)のためにこういうことをしましょうと、いろいろ書いてありますからね」
(登録者)「認知症になったらこんなの読めないもん」
(市職員)「認知症にならないために。未病というのがね…」
(登録者)「食事はちゃんとしているから」
(市職員)「規則正しい生活と食事が」
(登録者)「お弁当と」
(市職員)「人の話を全然聞かないでしょ」
(登録者)「しゃべりたいの!だって何にもしゃべってないもん、毎日毎日」
(市職員)「そうだよね」
9年前に事業を始めた横須賀市では、146人の登録者のうち、これまでに72人が亡くなり、市が納骨まで見届けています。今年6月から事業を始める神戸市では、原則年収230万円以下で、65歳以上のひとり暮らしの人が対象で、葬儀や納骨にかかる基本費用36万円は市民が前払いします。
(神戸市斎園管理課 中村肇課長)「亡くなった後にきちんと自分が望んだ通りの葬儀納骨ができたかということを、神戸市が間に入って担保することで、安心感を持ってこの契約を結んでいただきたい」
神戸市民の声を聞いてみました。
(78歳)「(Q利用したい?)あればするわね。妹1人いますけど、それぞれの生活が大変だから」
(79歳)「いいと思うけど、僕はしないです。別にする必要ないから、そういう人がいるから来てくれるから」
(80代)「そういうのいいね。頼りにしたらいいんじゃないですか。今はそういうのないから、本当に1人だから」
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