新潟県内で『子ども病院』の設立を目指す大学院教授がいます。
その背景には「小児医療の現状と課題」がありました。

新潟大学大学院で小児科医の育成を行う齋藤昭彦教授は、20日に新潟市中央区で開催されたライオンズクラブ主催の講演会で「子どもは大人の単なるミニチュアではない」と話し、子どものための専門医療施設である『子ども病院』設立の必要性を訴えていました。

『子ども病院』とは、建物全てが子ども用に作られている専門の医療施設のこと。
それぞれの専門家の質の高い小児医療を1箇所で受けることができるほか、大人の目を気にすることなく入院生活が送れます。

「24時間365日開いていて、お子さんに何か問題があったらその病院に来れば、全てのことが心配なくケアできる」

福岡市立こども病院(2014年撮影)

全国に『子ども病院』は14施設ありますが、新潟県内にはありません。
“費用”が課題だと齋藤医師は説明します。

「小児医療というのは利益が上がらない部門で、病院の中でも小児科医はどうしても立場が弱いんですね」

大人と比べ処方する薬の量も少ないため、子どもに掛かる医療費は大人よりも安くなります。一方で人手もかかるために人件費はかさみ、“不採算部門”とも言われているそうです。

しかし『子ども病院』がない新潟県内では、例えば小児がん患者の子どもが大人と一緒の病室や治療室になったり、食事面での苦労もあったりと大変です。

【新潟大学大学院 小児科学分野 齋藤昭彦教授】
「(小児医療への投資は)子どもたちを育てることにつながり、そして人が集まってくることにもつながってくるので、決してネガティブな投資ではなくポジティブな投資だと思う」

【ライオンズクラブ国際協会 鈴木壽男地区ガバナー】
「ライオンズクラブとして何ができるのか、何をしなければいけないのかを真剣に議論し、今後少しでも役に立てるような形で活動していきたい」

『子ども病院』について新潟県では、2026~27年に整備ができるように検討をしていますが、花角英世知事は22日の会見で「まずは小児医療の充実を図り、最終的に子ども病院ができることが理想だ」と話しています。

「“子ども病院”という立派な建物の姿を追い求めるよりも、優先順位を考えながら機能を充実させていくことが大事だと私は思っています」

病気の子どもやその家族が治療に専念できるよう、早めの環境整備が望まれます。

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