東京都品川区の住宅の一室で母子4人の遺体が見つかった事件で、同じ部屋から搬送された父親の首に自ら刃物で切ったとみられる傷があったことが、捜査関係者への取材で分かった。警視庁捜査1課は、父親が家族の死亡した経緯を知っているとみて、回復を待って事情を聴く。

◆住宅に外部から侵入された形跡なし

 捜査関係者によると、4人の遺体は首や胸など上半身を中心に刃物の傷が複数あったことも判明。いずれも失血死の可能性があり、司法解剖して詳しく調べる。遺体の発見当時、住宅は玄関や窓が施錠されていて、外部から人が侵入した形跡はなかった。  事件では高波冬美さん(37)、小学1年の長女後藤鈴さん(6)、保育園児の次女玲ちゃん(3)と長男信ちゃん(2)が死亡した。高波さんと40代の父親は今月に入り離婚し、そのまま同居していたという。23日午後1時半ごろ、高波さんの60代母親が遺体を発見した。  捜査1課は24日、容疑者不詳の殺人容疑で現場検証した。

◆亡くなった長女の鈴さんは小学校に入学したばかり

5月23日、周辺の住宅から母子4人の遺体が見つかり騒然とする戸越銀座商店街

 落ち着いた雰囲気の戸越銀座商店街のすぐ裏手の住宅で起きた惨劇。近所の住民からは戸惑いの声が聞かれた。  商店街に店を構える女性は「旦那さんが自転車に子どもを乗せて保育園に送っていくところをよく見かけたので、イクメンという印象だった。お子さんが生まれる前は夫婦でバイクに2人乗りして出かけていたので仲が良いんだなと思っていた」と声を落とした。  事件のあった住宅の隣に住む50代の男性会社員も「家族のトラブルや争うような声は聞いたことがない」と証言。一方で「事件前夜にガソリンか灯油のような臭いがしたので、何だろうと思っていた」と話す。  亡くなった長女の鈴さんは小学校に入学したばかりだった。同学年の子どもを持つ母親によると、鈴さんは今月予定されていた運動会で『始まりの言葉』を言う役にも選ばれていたが、運動会は延期になったという。「何が起こったのか状況がわからない」と不安そうに話した。(浜崎陽介、佐藤航) 

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