当時高校2年の男子生徒が自殺したのは、テストでカンニングをしたことをめぐり、教師らが不適切な指導をしたからだとして、両親が学校に対し賠償を求めた裁判が始まり、学校側は、「指導に立ち会った教師から『卑怯者』と言わせた証言は得られていない」などと請求を退けるよう求めました。

 《教師数人から“カンニングは卑怯者がすること”と言わされ…2日後に自殺》

 訴状によりますと、大阪市にある「清風高校」に通っていた男子生徒(当時17)は2021年12月、期末試験のテストでカンニングが発覚し、教師数人から“カンニングは卑怯者がすること”などと言わされ自宅謹慎や、80巻の写経などを命じられたということです。

 男子生徒は指導の2日後に自殺し、遺書には「卑怯者と思われながら生きていくほうが怖くなってきました」と書かれていました。

 《学校側の第三者委『指導と自殺との因果関係を否定』》

 一方、「清風学園」側が設置した第三者委員会は指導と自殺との因果関係を否定しています。

 5月8日に両親は「カンニングで指導を受けるのは当然」としたうえで、「自殺は不適切な指導が原因で『卑怯者』という評価を受けながら生きていくしかないという絶望感を与え、必要以上に人格を否定した」などとして、学校の運営法人に対し、1億円あまりの賠償を求め提訴していました。

 《裁判で学校側「教師から言わせた証言は得られていない」「指導は長時間でもなかった」》
 
 24日から裁判が始まり、学校側は学校側は「カンニング発覚後、威圧的な言動はなされておらず、事実確認とカンニングがいかに自分のためにならない行為であること、そして、まだやり直すチャンスがあるので前向きに取り組みを促す指導を行っていたもの。指導の際に立ち会った教師から『卑怯者』であるとの言葉を言わせていたとの証言は得られていない。指導時は、多数の教師らが囲み、長時間でもなかった」などと訴えを退けるよう求めました。

 《生徒の父親「息子がなぜ自死を選択したのか…未だに心の整理がつかない」》

 裁判後に取材に応じた生徒の父親は次のように話しました。

 (男子生徒の父親)「校則違反はいけないことであり、一定の指導が必要と言う点は非難はしません。しかし反省の姿勢を示しているにもかかわらず、卑怯者と言わされています。校則違反もなくまじめな生徒に言わしめ刷り込みしたと思っています。それらの指導が本人の自死の決断に強く影響したと考えています」

 そのうえで父親は突然のこと未だに心の整理がつかないなどと話します。

「息子がなぜ自死を選択したのかあまりにも突然のことで、心の整理がついていません。毎日子どものことを思い出しています。配慮のない指導で精神的に追い込まれたと考えています。学校で二度とこのような事が起こらない社会になってほしい」

 

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