2022年の大雨で甚大な被害を受けた津軽線(青森県)で、運休が続く区間が事実上の廃線となる見込みです。沿線自治体の中で、これまで鉄道復旧を訴えてきた今別町の阿部義治町長が自動車交通への転換に同意しました。

津軽線に関する会議には、沿線自治体と県、JR東日本盛岡支社の代表が出席しました。会議で焦点となっていたのは、2022年の大雨で被災し運休している津軽線の蟹田・三厩駅間28.8kmの対応です。

復旧工事には最低でも6億円かかるとされ、JR側は今後の対応として自動車交通への転換を自治体側に提案してきました。

沿線自治体の中ではこれまで、今別町の阿部義治町長が一貫して鉄道の全線復旧を訴えてきましたが、23日に初めて断念する考えを示しました。

今別町 阿部義治町長
「私個人としては今でも鉄路復活の気持ちがありますが、鉄路に今別町がこだわり続けても、沿線の自治体の皆さん、そして今別町のためにはならないという判断をもって、自動車交通への協議に応じるという苦渋の決断をした」

被災区間は事実上の廃線へ議論が進むことになった津軽線。全線開通したのは、1958年です。多くの沿線住民に盛大な歓迎を受けた理由。それは鉄道が開通するまでは冬場になるとバスや船が運休し「陸の孤島」になっていたためでした。

ただ、車社会の進展に伴い利用客は減少。今回の被災区間のなかにある三厩と中小国間の利用者数は1987年度は1日あたり415人でしたが、2022年度には5分の1の80人にまで落ち込み、存在感は薄れていました。

このため、23日、鉄道から自動車への転換が決まったことについても、沿線住民からは反対とともに理解を示す声が上がりました。

今別町の人は
「こっちの方は汽車があった方が楽。観光もあるのでバスはたかが知れている。汽車だったらある程度のひとも乗ってこれるし、汽車があった方がいいと思うけど…」

外ヶ浜町三厩地区の人は
「鉄道でないとだめなら別だけどバスもある。(バスに)乗ってる人に聞けば、こっちの方が便利だという話もある。私もそれで良いじゃないかと思ってます」

被災区間は今年度いっぱい、代替交通として運行しているバスとタクシーの実証実験が継続するとともに、JRと沿線自治体が新たな自動車交通の体系を協議する方針です。

外ヶ浜町 山崎結子町長
「平行線が続いていたので、やっと今後の上磯地域の公共交通ネットワークに関してスタートラインに立った。地域に優しい観光客にも使っていただきやすい、公共交通ネットワークを一緒に構築していければと思う」

JR側は、自動車交通へ転換した場合、18年以上の運営を想定していて地域交通の確保に努めるとしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。