いま、全国各地で目撃が相次いでいるクマ。北海道では家畜が襲われたとみられる被害も出ています。よみがえる「OSO18」の恐怖。住民に不安が広がっています。

相次ぐ“凶暴なクマ”被害

井上貴博キャスター:
警戒心が強く、賢く、大胆な行動をする“OSO”と呼ばれる個体に近いのではないかと言われています。2019年から去年にかけて、乳牛66頭を襲った“OSO18”は体長が2.1m、推定体重は330kg。大体メスのクマは体長1m50cm、体重200kgほどと言われているので、大きいということがおわかりいただけると思います。去年7月に捕獲した後、駆除できたと言われていたものです。

“OSO18”は北海道・標茶町オソツベツで最初の被害が確認され、足のサイズ幅が18センチあったということから名付けられました。

各地の被害です。21日、北海道・別海町で子牛8頭が襲われ、そのうち4頭が死にました。内臓を食べられていました。内臓の場所なども頭に入っていたのでしょうか。このときの足跡は17センチほどだったそうです。
今度は今月18日、秋田です。山林で男性の遺体を捜索していた警察官2人が襲われました。両腕、顔など大けがをしています。

クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授に話を伺いました。この時期は繁殖期なのでクマの行動範囲が通常より広がるそうです。そして雄から逃れようとする雌、若い雄などが山を降りる習性があり、住宅街などに出没する危険性も増えるので、この時期は警戒が必要なんだそうです。

やはりこのクマと共存していくために大変重要なハンターについてのニュースもありました。北海道の猟友会・奈井江部会は、クマ出没時などに起きたハンター出動要請を辞退する方針であることがニュースになりました。
なかなか折り合いがつかなかったのが報酬額です。町から提示された報酬額について話し合いを進めていた時に提示されたのが、日当8500円でした。発砲すると1万300円です。値段が安すぎるため辞退する方針となりました。ちなみに、札幌市では出動1回当たり2万5300円を報酬としているということです。
もちろん市の財政、町の財政で考えると一概に土俵には上げられないのですが、“この差は何なんだ”ということになるようです。

猟友会・奈井江部会
「クマの駆除はそう簡単なものではない。山の中に命をかけて入っているのでこの報酬額では不十分。保険の費用や弾薬代で、すぐに赤字になってしまう」

奈井江町
「猟友会の方針に戸惑っている。報酬額を含め、これから話し合いを進めていきたい」

奈井江町としては、他の町レベルの報酬額を考えるとほぼ同じ水準なので、これから話し合いを進めていこうとしている中で突然辞退の方針というのは、戸惑っているということなんだそうです。

ホラン千秋キャスター:
繁殖期の話がありましたが、時期は関係なく、例えば出産の前後は雌が気が立っていたり、冬眠の前は食べ物を蓄えようとしていろいろなところに行動範囲を広げたりなどと考えていると、シーズン関係なく1年を通して、やはりクマが近くに生息している環境に住んでいる方からすると大変怖いですね。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
地域によってもちろん差はありますが、そもそも人間とクマは長い歴史から見ても密接に共存してきたわけです。記録に残っているだけでも平安時代に宮中にクマが入り込み、人を傷つけるという事件がありました。その時代から生態系のバランスが崩れているということでしょうか。私も専門家ではないんですが、やはりこういったことが増えるということは何かしらのバランスが崩れているんだろうなと思います。

ホランキャスター:
さらに対策をしようにもそこに充てられる費用、支援などが出せる自治体、出せない自治体もあると差が出てきてしまいます。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
もちろん私は駆除していくべきだとは思うのですが、やはり学者が経過をしっかり見ていかないと、ニホンオオカミのように完全に絶滅ということも気が緩んだらあり得るので、そこは二人三脚で、十分な予算があるべきだとは思いますね。

井上貴博キャスター:
共存していくためにも駆除は絶対に必要だという考え方があります。しかしハンターの皆さんも本職があるなか、緊急時に出動しています。命をかけているのにこれだけ安いというのは、出没例が多く、人員が減っている中で、何とかしてほしいという声もやはりすごくわかるなという気がします。

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<プロフィール>
今村翔吾 さん
「塞王の楯」で第166回直木賞 受賞
歴史・時代小説家
30歳までダンス講師

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