2022年に大阪府堺市のマンションで、隣人の男性を暴行死させた罪に問われている34歳の男。5月23日、検察側は懲役14年を求刑しました。

隣人の63歳を常習的に暴行か
 
 楠本大樹被告(34)は2022年11月、堺市中区のマンションで、隣人の唐田健也さん(当時63)に暴行を加え、両側気胸で死亡させたとして、傷害致死の罪に問われています。

 死亡に至った暴行以外にも、その約1か月前から、拳で腹部を殴るなどの暴力を唐田さんに常習的に振るっていたとして、暴行の罪にも問われています。

 医師の証言によれば、唐田さんの遺体は、肋骨が左右計20か所以上で完全に折れていて、折れた骨の断片が胸膜に刺さり、肺に穴があいたとみられています。

「人が死ぬような力を加えて殴ったことはない」
 
 5月13日の初公判で楠本被告は、常習的な暴行については「間違いない」と認めたものの、傷害致死の罪については、「人が死ぬような力を加えて殴ったことはない」と否認しました。

 一方で、5月16日の被告人質問では「(唐田さんが死亡しているのを被告が見つけた時)僕が暴行をしたことで亡くなったのかなとは考えた」「(現在は)まさかという気持ちと本当に申し訳ない気持ち」など、暴行と死亡との因果関係を認めるとも受け取れる供述をしていました。

生活保護 職員の前でも暴行する姿が…
 
 事件をめぐっては、楠本被告と唐田さんがいずれも生活保護を受けていた中で、堺市中区役所の当時の係長やケースワーカーらが、被告の暴行を目撃しても通報などを怠り、さらには唐田さんに対する被告の金銭搾取も“黙認”していたことが明らかになっています。

 楠本被告に生活保護費を不正に支給していたことも判明し、当時の係長が、背任の罪で罰金30万円の略式命令(堺簡裁)を受けて懲戒免職となったほか、ケースワーカーら3人(背任容疑で書類送検も不起訴)も、減給や停職の懲戒処分が下されています。

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