国がすぐに対応に乗り出した小林製薬の「紅麹サプリ」問題。それとは対照的に進まないのが、新型コロナワクチンの副反応の原因究明です。患者の会の訴えに対し、厚生労働省が示した回答とは?
(小林製薬の会見 4月22日)
「このたびは申し訳ございませんでした」
3月末、突如明るみに出た「紅麹サプリ」問題。
(小林製薬の会見)
「弊社が販売する紅麹コレステヘルプを摂取された方において、腎疾患などが発生しております」
小林製薬が製造する「紅麹」の成分を含むサプリメントを飲んだ人に、腎臓疾患が起きたとして、商品の自主回収を発表。
そこからの国の対応は「迅速」でした。
(厚生労働省 武見敬三大臣 4月26日)
「大阪市などと緊密に連携をし、原因究明や適切な自主回収の実施など、健康被害の更なる拡大防止を図ることで、国民の健康や食品の安全を守ってまいりたい」
4日後には大臣が声明を出し、1週間後には「プべルル酸」という有害物質の混入を発表、直ちに立ち入り調査を実施しました。
腎不全などで252人が入院、5人が死亡した中、国の素早い対応がうかがえますが、これを「複雑な心境」で見ていた人々も…
(60代女性)
「(紅麹サプリと違って)周りが分かってくれない。サプリのように広報してくれれば『ああ、それ飲んでたんだ、大丈夫?』となるが、『ワクチン?何言ってるの?』と…」
愛知県内に住む60代の女性。新型コロナワクチンの3回目接種後に、腎臓に障害が。
「ワクチンを打ってから、いろいろなことが変わってしまった」
(60代女性)
「(3回目接種の)翌日から38度を超える高熱が出て、そのあと目で見てわかる、びっくりするほどの赤い血尿が出た」
(大石邦彦アンカーマン)
「今までそういう尿が出たことは?」
(60代女性)
「無かったです」
(60代女性)
「これが(おととし)6月の検査結果。IgAという物質がとても高く、血尿とたんぱく尿もあって(医師に)『これはIgA腎症かもしれないね』と言われて…」
「IgA腎症」とは、自分の免疫が腎臓を攻撃する自己免疫疾患で、治療法が確立されていない「難病」に指定されています。
(60代女性)
「全く報道されていないので、IgA腎症も『何ですかそれは?』という感じだった。(医師に)『もしかしたらこれはIgA腎症かな』と言われなければ、本当にわからないまま透析になって…死んじゃったと。もしかしたら私もそうだったかもしれない。こういう人もいると厚生労働省には発信してほしい」
女性は国のワクチン救済制度に申請。10か月経ってようやく認められました。
(大石アンカーマン)
「厚生労働大臣 武見敬三 署名されてますね。こちらにはしっかり書いてますね、認定疾病名が『IgA腎症』」
(60代女性)
「総理や大臣は『速やかな救済』と言ってますが、少しも速やかじゃないと思います」
首にはしこりが…指先に力が入らず「ペットボトルは開かない」
さらに、別の病気も…
(60代女性)
「(首を見せながら)これですね」
(大石アンカーマン)
「ここですか。ちょっと腫れてますかね。中にピンポン玉が入っている感じ」
(60代女性)
「(しこりの大きさは)24ミリと言われました」
(大石アンカーマン)
「24ミリのしこりが中にできている」
甲状腺に炎症が起きる「橋本病」。ホルモンの不足で新陳代謝が低下し、ひどい倦怠感が起きます。
(60代女性)
「指先に力がないのでどうやっても…もうペットボトルは開かないですね」
手や足も動かしづらくなり、日常生活にも支障が出ています。そしてこれも、自己免疫疾患です。
(60代女性)
「IgA腎症は(救済制度で)認められていますが、この先のこういった症状はどうなってしまうのか。免疫疾患のくくりで入れてもらえるのか、追加申請があるのか分からないですけど。確実にワクチンを打ってからいろいろなことが変わってしまった」
“紅麹”には迅速に対応した国…“新型コロナワクチン”の健康被害は?
ワクチンと腎疾患の関係について、日本腎臓学会は接種開始から間もない2021年に調査を行い、「IgA腎症と診断されていた人に血尿など症状の悪化が起きていた」という結果をまとめました。
しかし、腎臓内科の医師は、ワクチンとの因果関係は「分からない」と話します。
(大石アンカーマン)
「ワクチンとの因果関係は、腎臓についても分からないですか?」
(横浜市立大学 涌井広道医師)
「現時点でははっきりしたことは言えないと思う。コロナワクチンは免疫原性が強いですから、新型コロナの自然感染を模倣するような感じで、自己免疫反応が誘導されて、腎炎が悪化する可能性があるかもしれない」
国の副反応まとめでは、コロナワクチン接種後の腎臓関連の疾患は310件あまりに上り、IgA腎症などの自己免疫疾患も多く含まれています。
(60代女性)
「『ワクチンは人類を救った』という人もいますが…人類を救ったかもしれないけれど、こうなった人もいるんだよと」
(患者の会 木村代表)
「小林製薬の紅麹の原料を使ったサプリメントの健康疑いにつきまして、厚生労働省が実態調査や被害の最小化に向けて迅速に対応されている様子を拝見し、新型コロナワクチンによる健康被害への対応の違いに悲しみを感じております」
4月初めには、ワクチン後遺症の患者の会が、対応が迅速な紅麹サプリ問題との違いを訴え、原因究明や実態調査を改めて求めました。
そして4月24日、超党派の国会議員連盟がこの問題についての勉強会を開催。患者の会も参加した中、厚労省の担当者から回答が。
(厚労省 予防接種課担当者)
「『現時点では接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない』と評価されているが、いずれにしても遷延する症状を含めて、ワクチンの安全性に関する科学的知見の収集に努めていきたい」
引き続き調べるとしながらも、「ワクチンに問題はない」というこれまでと同じ答えでした。
(患者の会 神谷副代表)
「私たち、困っているから来ています。今までの現状の対策では困っているから来ているので、どうぞ具体的な策を考えていただけたらと思っております」
約3万7000件の副反応、2193人の死者が報告された中、「問題はない」とする国…原因究明を求める患者の声はさらに強まる事になりそうです。
2024年4月25日放送 CBCテレビ「チャント!」より
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