日本有数の山岳観光地として全国のファンを魅了する長野県。
浅間山でもこの程、山開きが行われ、50人が参加するちょっと変わったツアーが行われました。


浅間山で8日に行われた山開き。

待ちに待った本格的なグリーンシーズンを迎え、さっそく、多くの人が登山を楽しみました。

そんな中、50人ほどが、あるツアーのスタートを待っていました。


観光局スタッフ:
「きょうはカモシカを見るまでは帰れません」

こもろ観光局が、山開きに合わせて企画した、その名も「カモシカ見るまで帰れまてんツアー」。

浅間山麓に生息する、国の特別天然記念物、ニホンカモシカを見つけに行く登山です。

観光局スタッフ:
「いってらっしゃい、カモシカ見つけてきて。いってらっしゃい」

小諸市の浅間山荘の登山口を出発し、山や自然の魅力を感じながら、標高およそ2000メートルに位置する火山館まで、およそ4キロの道のりを登ります。

参加者:
「浅間山初めてなんですよ私、小諸にいるんだけど。動植物もいいし、きょうはカモシカを見たいんで」

カモシカを見れますかね?
妻:
「去年、夫が来てこのツアーで見たんだそうです」
夫:
「今年は(妻と)一緒に参加しました」

案内をするのは、浅間山の周辺で、環境保全や、ガイドツアーなどを行う、市内のNPO法人、浅間山麓国際自然学校の佐藤逸郎(いつろう)さん。


佐藤さん:
「白い肌の木がありますけどシラカバです。ちょうど今芽吹きが始まっていて、非常に気持ちがいい日ですよね」
「道端に咲いている紫色のスミレはタチツボスミレ。山では虫が少ないので、自分たちが子孫を残すために花の色を工夫しながら非常にきれいなんですよね」
「木の皮がはがれているところがけっこうありますよね。ニホンジカがけっこう増えてきてまして、冬食べるものがないので木の皮を食べます。この皮のすぐ内側に道管が通ってまして、水分を吸い上げたりという機能があるんですけども、一周ぐるっと食べられと、ほとんど次の年に枯れてしまいます。ということでシカの被害が非常に大きくて森としては困っている」

参加者:
「(ここまで)いい感じで来ました。天気が程よく、こんな初めて滝も見て、マイナスイオンを浴びながら、滝の裏に入りたいね、あそこね」



観光局スタッフ:
「いったんここ一番急な坂を登り終わりましたので休憩になります。お疲れ様でした。まだカモシカ見つかっておりません」
参加者:
「かえれまてん」
スタッフ:
「まだ皆さん帰れません」

行程の半分ほどを終えましたが、カモシカはまだ姿を現しません。

休憩中も目を光らせる佐藤さん。

浅間山麓にカモシカが多く生息する理由は、エサが豊富なことだといいます。


佐藤さん:
「普通森の中って針葉樹の森でいくと食べるものないんですよね。ここは草があったり若い(木の)芽があったり食事がとれる場所が多いので、自分の縄張りが広くなくても狭い範囲で食料確保できるので増えていく」

特に遭遇率が高いのが、「カモシカ平(だいら)」です。

こもろ観光局によりますと、生息密度は全国平均の10倍ほどで、視界も開けているため、見つけやすいポイントだといいます。

佐藤さん:
「この斜面にいる可能性が高いので、双眼鏡を持っている方、見つけてください」


全員で双眼鏡をのぞき、じっくり探しますが…



参加者:
「え岩?岩?また岩?」

体毛と岩肌が同系色のため、なかなか見つからず…

探し始めて15分ほど経過した、その時。


参加者:
「アッ、いた」
「え?」
「どこのくぼみですか?」
佐藤さん:
「その木の一番先っぽのちょっと上」
参加者:
「あっ、いたいた」
佐藤さん:
「2頭歩いてますね」

浅間山荘を出発しておよそ2時間半、ニホンカモシカをついに発見しました。


参加者:
「あっこっち向いてます。いやーもう1回見たい。こっち向いてますね。あー白い顔してる。いいですね~」
参加者:
「やった~」

こうして今年初めての浅間山登山を笑顔で満喫した参加者たち。

佐藤さん:
「登るときはけっこう苦しいんですけど、山頂にたどり着いた時の達成感ですね。それでもう苦しいことは全部忘れてしまうというそれの繰り返しですね。ぜひ皆さん山を楽しんでいただければと思います」

浅間山は現在、噴火警戒レベルが2で、火口周辺への立ち入り規制が行われています。

観光局では、噴煙が急に増えたり地鳴りなどの異常を感じたりした時は、シェルターに避難するなど安全にも注意しながら登山を楽しんでほしいとしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。