教職員の働き方改革につなげる取り組みです。

教育現場では先生たちの長時間労働が問題となっています。
宮崎県教育委員会が昨年度行った調査によりますと、校長や教頭などを除いた教諭のうち時間外業務が「過労死ライン」とされる月80時間を超えているのは、小学校で0.6%、中学校で10.8%、高校では20.9%となっています。

こうした中、教員たちの働き方改革につなげようと、宮崎市では今年度から、夜間を除く公立中学校でテストの採点をデジタル化するシステムが導入されています。どのような効果が出ているのか取材しました。

「デジタル採点システム」とは

宮崎市佐土原町の久峰中学校。2022年度に、市教育委員会から「デジタル採点システム」をいち早く導入するモデル校に指定され、定期テストの採点で活用してきました。

「デジタル採点システム」とはどのようなものなのか見せてもらうと…

(久峰中学校 今村雄紀教諭)
「ボタン一つで、マルバツをつけていきます」

生徒たちの答案用紙をスキャンすると、問題ごとに複数人の解答を一覧表示することができます。

(久峰中学校 今村雄紀教諭)
「皆さんの答えを並べて丸つけができるので、一問ごとに丸つけができるので、とても、丸つけが早くできるようになりました」

記号問題や数式はAIが採点 点数などのデータは自動で一覧化

また、記号問題や数式は、事前に設定をするとAIが採点。
さらに、生徒たちの点数などのデータは自動で一覧化されるため、採点後の業務時間も大幅に削減できているということです。

(久峰中学校 今村雄紀教諭)
「今では、手で丸つけするよりも、1時間くらいは早く各クラス丸つけが終わるようになりました。点数の一覧とかも、今までは、一枚一枚回答用紙を見て、手書きで自分の資料に写していたんですが、このように一覧で、自動的に出してくれるので、写し間違いというようなミスも減らすことがでるようになりました」

「デジタル採点システム」には生徒たちにとってもうれしい機能が。

(久峰中学校 今村雄紀教諭)
「各問題の正答率がでたり、それを棒グラフで表してくれているので、どの問題が子どもたちがよくできたか、よくできてないかっていうのが、一目瞭然でわかるようになりました」

採点業務を約40%削減

教員の負担軽減を図ろうと導入されたこのシステム。

昨年度、久峰中を含むモデル校5校では、教員の採点業務にかかる時間がひと学級あたり、およそ40%(約50分間)削減できたということです。

久峰中の教員たちの反応は。

(国語教諭)
「採点はかなり時間を取りますので、労力の部分ではすごく楽になったかなと思います」

(理科教諭)
「時間がとにかくかからない。あと、テストの終わったあとの分析とかがしっかりできる。分析ができれば、次の授業のときにそれを生かして、指導もできます」

先生の働き方の選択肢を増やすものに

宮崎市教育委員会は、デジタル採点システムを、今年度から、夜間を除く市立中学校25校で導入し、デジタル化を進めて教員の働き方改革につなげたいとしています。

(宮崎市教育委員会 内村正和さん)
「先生方の採点業務時間を減らすことで、その時間を、子どもたちと向き合う時間であったりとか、あとは授業のための教材研究の時間、こういった部分を大切にしていただきたいと思っていますので、先生方の働き方の選択肢を増やすものになってもらえればいいなと思ってます」

(スタジオ)
時間が短縮できるというのは、その分、生徒たちに向き合えるということで良いことだと思います。

デジタル採点システムでは、採点した回答用紙や個人成績表をこれまで紙で返却してましたが、最近は、生徒たちがタブレットで見る形で返却することが可能になってデータの蓄積もできるということです。

システムは、県立学校でも来月から導入される予定だということで、こうした取り組みの広がりのほか、教員の長時間労働は部活動指導などの要因も絡んでいますので、働き方改革に向けさらなる取り組みが求められそうです。

※MRTテレビ「Check!」5月15日(水)放送分から

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