気象庁の「エルニーニョ監視速報」が、5月10日に発表されました。
それによりますと、
・去年の春から続いている「エルニーニョ現象」は収束に向かっている
・その後、平常の状態になり、夏から秋には「ラニーニャ現象」が発生する可能性が60%と高くなる見込みです。
気象庁のHPに掲載されたエルニーニョ監視速報では、この夏に向けて海面水温が下がるトレンドになっています。
では、そもそも「エルニーニョ現象」「ラニーニャ現象」とは何なのか?
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルー沖にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
一方で海面水温が平年より低い場合は、ラニーニャ現象と呼ばれ、遠く離れた海面水温が、日本を含めた世界中の異常な気象の原因になります。
この夏はラニーニャ現象が発生する可能性があるため、今回はラニーニャ現象を中心に解説します。
「ラニーニャ現象」が発生したら…台風発生後すぐ日本に“接近”
ことしの夏は暑い?
夏だけで切り取ってみると、近年では、2020年と2022年が該当します。気象庁の資料によりますと、ラニーニャ現象が発生した2020年は、全国的に暑い夏となり、特に静岡県浜松市では8月16日に歴代最高気温41.1℃を観測(2018年8月にも埼玉県熊谷市で同気温)しました。
また、2022年も夏の平均気温が東・西日本と沖縄・奄美でかなり高くなりました。西日本では1946年の統計開始以降、当時としては1位タイの高温となりました。
ラニーニャ現象が発生すると、暑い夏になることが多いのが特徴です。
気象庁が発表していることしの夏の長期予報でも、全国的に平年より気温が高くなる可能性があるということです。
ラニーニャ現象が発生したら、台風はどうなる?
ラニーニャ現象が発生した夏の台風は、以下の特徴があります。
・平常時に比べて西にずれる傾向がある(夏は北に、秋は西にずれる傾向がある)
・秋、台風の発生から消滅までの寿命が短くなる傾向がある
つまり、ことしの夏はいつもの年に比べて、日本に近い所で台風が発生することが多くなり、発生した後は短い時間で日本に接近する恐れがあります。
ラニーニャ現象の夏は、近くで発生した台風の影響で、急に風が強まったり、大雨をもたらしたりすることも考えられます。ことしも台風の情報はこまめに取り入れていただければと思います。
気象予報士・桜沢信司
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