2012年、当時の大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が、男性顧問から体罰などを受けたあと自殺しました。

その後当時の顧問は、懲戒免職の処分、刑事裁判でも有罪判決を受けましたが、JBA(日本バスケットボール協会)としても、公認指導者の資格を取り消していました。

この元男性顧問が、今年になって資格回復(復権)を申し立て、協会の裁定委員会が「復権を認めないのが妥当」と判断していたことがわかりました。

◆桜宮高校で男子生徒が自殺

桜宮高校では2012年、元教諭が、バスケットボール部でキャプテンを務めていた当時17歳の男子生徒を平手で数回殴ったり、練習試合で十数回殴って口から出血させるなどし、その翌日、男子生徒は自殺しました。

日本バスケットボール協会によりますと、翌2013年、元顧問はJBA理事会の決定で、スポーツ指導者としての資格が取り消されていますが、その後の2018年に協会は、「除名の懲罰を受けた者は10年を経過したとき、理事会の決定により復権することができる」とする新たな規定を設けました。

元顧問は、10年以上が経った今年2月に復権の申し立てをしたということです。

◆弁護士でつくる裁定委は「認めない」と判断

日本バスケットボール協会によりますと、この申し立てを受けて、外部の弁護士でつくる裁定委員会が調査しました。

元生徒の遺族や、当時の裁定委のメンバー、元顧問本人からも聞き取りを実施して審議を実施、その結果元顧問の「復権を認めないことが妥当」と判断したということです。

具体的にどういった点が「認めない」とする根拠になったのでしょうか。

◆「自己を正当化するような発言が散見」

裁定委は、元顧問が「暴力による制裁を加えることが効果的な指導方法」と確信を持って指導していたことなどから、「本件に正面から向き合い、真摯に反省する姿勢が不可欠」としました。

しかし、反省文や、本人の話からそういった姿勢が十分でなく、むしろ「事実関係や遺族対応について、自己を正当化するような発言が散見。

あたかも、自分も被害者であると思っているようにさえ窺われる点があった」としています。

このほか、民事裁判で確定した額についても、ごく一部しか支払っておらず、こうした姿勢を遺族が全く許していないことも明らかとしています。

理事会メンバーとの意見交換の場でも、復権に賛成する声は皆無だったといい、結論として、更生基準も相当性基準もいずれも満たさず、裁定委員会として「復権を認めないことが妥当」であると判断したということです。

これに対し日本バスケットボール協会は、「当協会として裁定委員会の結論を支持いたします」としています。

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