障害基礎年金の支給を突然打ち切られた1型糖尿病患者らが、異例の「再提訴」を経て国に支給再開を求めてきた裁判で、患者らが逆転勝訴した2審判決に対し、国が上告しなかったことから判決が確定。障害基礎年金が再び支給されることになりました。

大阪府などに住む1型糖尿病患者9人は、「障害等級2級」にあたるとして障害基礎年金を受給していましたが、2016年12月までに、「障害等級3級」に認定を変更され、詳しい説明もないまま年金支給を打ち切られました(年金の支給対象は障害等級1級・2級)。

9人は支給再開を求め提訴。大阪地裁は2019年の判決で「理由提示の要件を欠いて違法」として、処分の取り消しを国に命じましたが、国が理由説明を付けて再び不支給処分を通知したため、9人は異例の“再提訴”に踏み切ります。

しかし2回目の裁判で大阪地裁(2021年判決)は、9人の症状を個別に検討。障害等級2級に該当すると判断した1人についてのみ、年金支給の再開を国に命じました。これを不服として、敗訴した患者8人は控訴していました。

大阪高裁は今年4月、「8人の血糖コントロールの状態・症状や日常生活の状況などを詳細にみれば、いずれも『日常生活が著しい制限を受ける』程度=障害等級2級にあたると認められる」と判断。控訴した8人についても、国に障害基礎年金の支給再開を命じる、逆転勝訴判決を言い渡していました。

最高裁への上告の期限は5月7日でしたが、患者側の代理人弁護士によりますと、国は7日までに上告しなかったということです。これにより患者逆転勝訴の2審判決が確定し、結果的に裁判を起こした9人全員が障害基礎年金を支給されることになりました。

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