埼玉県営プールの水着撮影会 民間業者が県営プールを借り、水着姿の若い女性モデルを不特定多数の参加者に有料で撮影させるイベントで昨年6月、未成年モデルの出演や過激な露出・ポーズがあったと判明。協会は一時、全事業者に中止を要請したが、3つあるプールで統一した貸し出しルールがなかったことから大野元裕知事は「一律の中止は適切ではない」と表明。協会は一部の要請を撤回し、有識者検討会を設置して新ルールを定めた。
◆どこかの業界用語なのか?ルールに並ぶ単語の数々
「下乳(したちち)、横乳(よこちち)が大幅にはみ出るもの」は不可―。協会が設置した有識者検討会が3月に定めた撮影会のルールには、通常、公共機関の文書では目にしない言葉が並ぶ。ビキニのトップスは「底辺および高さが各10センチ以上」。根拠は「下着メーカーのホームページから調べた日本人女性の平均的な胸のサイズから覆える大きさ」だと説明した。埼玉県公園緑地協会が公開している「埼玉県営水上公園における水着撮影会開催の手引き」で例示された「不可ポーズ」の一部(実物はカラーですが、意図せず目にした場合の不快感を和らげるため、モノクロ化などの画像処理をしました)
禁止ポーズの「尻の突き出し」や「四つんばい」「M字開脚」なども図示した。パンツは「お尻の割れ目が見える」のは禁止だが、臀部(でんぶ)が大きく露出する「Tバック」はOK。ネットでは「これはOK」などと面白がるように水着写真を掲載する人々も現れた。参考:県営水上公園における水着撮影会の開催許可条件等について(公益財団法人埼玉県公園緑地協会のホームページ)
既に4~6月の週末は10事業者が計18日間の撮影会の開催を予定している。ルールについて、ある会社は「昨年問題になったので仕方ない。事前に出演者に周知し、条件を守るようにするだけ」と話す。ただ、判断は難しいという声もある。協会担当者は「モデルの体形は一人一人違う」と話した。◆オフシーズンに「稼げる」事業だった
課題を抱えながらも水着撮影会を許可し続ける背景には、収入源を失いたくない事情も透ける。協会によると、撮影会は2022年までの5年間に県営プール3カ所で約120回開かれ、毎年1000万~2000万円の収入があった。遊泳期間外としては釣り堀事業に次ぐ柱だ。協会は、県から公園の管理業務を委託された指定管理者。委託先を決める5年に1度のコンペでは「水着撮影会による収益もアピールポイントになる」(担当者)という。 一方、周辺の都県の公営プールでは、水着撮影会はほとんど行われていない。水着撮影の「聖地」とされる埼玉県営のしらこばと水上公園プール=越谷市で
千葉県は「許可した事例はない」といい、神奈川県の辻堂海浜公園の担当者は「2020年9月より前は年1~2件あったが、その後は申請がない」。東京都は都立の屋外プールが存在しない。昨年1回だけ開催し、今年も1回の予定がある千葉市の稲毛海浜公園の担当者は「公園の魅力向上の一環で業者も限定している」と説明。市の委託業者は、埼玉県の状況に「そんなに頻繁にやるとは…」と驚いた。 この問題を注視してきた太田啓子弁護士は「驚くほど詳細に禁止ルールを決めたことからも、水着撮影会が女性を性的に扱うイベントだと分かる。民間ならばともかく、県民の福祉目的で造った公園での開催は不適切。県は、適否を協会任せでなく自分たちの責任で判断するべきだ」と話している。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。