人生100年時代と言われる今、認知症患者の数は年々増加し、中には若くして認知症と診断される人も少なくありません。
もし、自分や大切な人が認知症になってしまったら…
若年性認知症と向き合う一人の男性を取材しました。

「38歳のときに、同僚の名前とかを忘れてしまって、声をかけられなくなってしまいました。」

そう話すのは、宮城県在住の丹野智文さん、49歳。
一見、普通の健康な男性に見えますが、丹野さんは今からおよそ10年前に若年性アルツハイマー型認知症と診断されています。

2023年公開の「オレンジ・ランプ」という映画――若年性アルツハイマー型認知症と診断された夫とその妻の9年間の軌跡を描く、実話をもとにした作品があります。
実は、丹野さんはこの映画のモデルとなった人物でもあるのです。

4月6日、認知症について知ってもらおうと島根県出雲市でイベントが行われました。映画「オレンジ・ランプ」の上映とともに、丹野さんは壇上に立ち、自らの経験を語ります。

丹野智文さん
「診断される5年前、33歳ぐらいから、徐々に人よりも物覚えが悪いなとは感じておりました。
でも、認知症だなんて思ったことがなくて、ストレスかな?と思って、病院に行ってみました。」

仙台市の自動車販売会社でトップセールスマンとして活躍していた丹野さん。
認知症と診断された時、まだ39歳という若さでした。

丹野智文さん
「付箋に予定を書いて、パソコンの前に貼ってたんだけど、それが人よりも多くなってきて。ノートに書きながら仕事をしてたんですよね。
でも、まだ30代だったので、まさか病気だとは思っていませんでした。
ちょっと疲れてるだけかなとか、人よりも仕事量が多いだけかなって思ってました。」

65歳以下で発症する認知症は「若年性認知症と呼ばれており、患者数は国内でおよそ3.5万人。
その症状や進行の程度は人によって違いがあるといいます。

丹野さんの場合は…

丹野智文さん
「私は、会社に行ってまず自分の席がどこだかわからなくなるときがあります。パソコンで入力するのも、やっぱり文字が書けないときがあって。パソコンで文字をおっきくして書く時もあったんだけど、もう合ってるかどうかわからないんです。
仕事ではお客さんを後輩に渡しなさいって言われて…
車の営業をしていたんですけど、お客さん渡すっていうことは『もう営業には戻れないんだな』と…もう人生終わったなと思いました。」

少しずつ支障が出る、日常生活。
その中で、家族や周囲からの過度な配慮や対応にもどかしさ、やるせなさも感じていました。

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