シリーズ「かごしまこの1年」。県の新しい総合体育館やサッカースタジアムなどことしは改めて今後のまちづくりが問われました。二転三転、迷走した2024年を振り返ります。
桜島を望むウォーターフロント・鹿児島港本港区です。鹿児島を代表する一等地でどのようなまちづくりを目指すのか年の初めから事態が動き始めました。
(検討委・委員長 北崎浩嗣・鹿大教授)「50年100年持続可能な魅力ある鹿児島のまちづくりをしていただくよう、発展させてほしい」
1月、本港区の今後を見据えた県の検討委員会がエリアごとにどのような開発を目指すのかゾーンニングした最終案をまとめました。
ドルフィンポート跡地には、県の新たな総合体育館・スポーツ・コンベンションセンターを建設し、にぎわいの核として「県民が親しむエリア」としています。
最終案を受け取った塩田知事は…
(塩田知事)「鹿児島市や関係団体とも協議をしながら、よりよいまちづくりに取り組んでいきたい」
現在の県の体育館は1960年完成。狭さや老朽化が課題で、2年前県は、新たな総合体育館をドルフィンポート跡地に整備する基本構想をまとめました。
メインアリーナの面積は2.5倍、観客席は5倍近い8000席以上。2029年の供用開始が目標です。
一方で、その本港区で県の構想とは異なるサッカースタジアム建設案を去年打ち上げた鹿児島市を塩田知事が訪れました。そして・・・。
(鹿児島市 下鶴隆央市長)「早期の整備に向けて、当市の検討は白紙に戻すことを決断した」
鹿児島市のサッカースタジアム案・白紙化を横目に県は、3月議会で体育館整備に313億円の予算案を提案、建設に向け軌道に乗ったかに見えました。そんな中、議論に加わったのはこの人。
(デヴィ・スカルノさん)「(体育館案は)ただのでっかい箱。そんなもの建てられたら目も当てられない。もっと怒って」
新しい体育館は地上最大8階相当・高さ30メートル。鹿児島を象徴する原風景が見られなくなるとの懸念に市民も・・・
(市民)「桜島の景観が隠れてしまう。ほかの場所がいいのかな」
県議会で313億円は可決されましたが・・・
(米丸麻希子氏)「今回(知事選への)出馬を決意した」
米丸麻希子さんが、体育館建設の白紙撤回を求め県議を辞職、県知事選の出馬を表明しました。
7月投開票の選挙では体育館問題も争点に三つどもえの戦いとなりました。
(米丸麻希子氏)「313億円。ドルフィンポートは(年間)最高200万人来ていた。40万人しか来ないものを作る。なにやってるんだ」
しかし・・・。現職の塩田知事が圧勝しました。
(塩田知事)「本当に幅広い県民のご支援いただき、ありがたく思う」
体育館の整備にむけた入札説明会には35社が出席しました。しかし9月、入札を希望していた2社が辞退。
入札は不調に終わり、県の構想は足元が大きく揺らぎました。「人手不足による人件費の高騰」が要因とみられています。
(塩田知事)「こうした結果になったことは残念」
議会からも厳しい声が飛びました。
(外薗勝蔵県議)「執行部はけじめをつけないといけない。人件費が高くなって人がいないとかそういうのは理由にならない」
塩田知事は…。
(塩田知事)「事業費が増加する可能性があるものと考えている」
一方、白紙となったサッカースタジアム構想では新たな場所が焦点となりました。
鹿児島市与次郎の鹿児島サンロイヤルホテルが老朽化などで県有地への移転方針を示すと、その跡地がスタジアムの候補地としてにわかに注目されています。鹿児島市そして県いずれも「候補地になり得る」とします。
先を見据えたまちづくり。11月の市長選挙で再選を果たした下鶴市長は・・・。
(鹿児島市 下鶴隆央市長)「選ばれるまちを作るために全身全霊をかけて取り組んでいく決意」
ことし迷走を続けた総合体育館とサッカースタジアム建設。県内ではさらに鹿児島中央駅西口の再開発、6年後の完成を目指す加治屋町の高さ100メートルの高層ビル計画もあります。
将来を見据えたまちづくりをどう進めるか・・・2025年はまさに正念場の年となります。
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