障害者の法定雇用率達成を目指して試行錯誤する企業も多い中、雇用率が50%を超えている企業が福岡市にあります。様々な工夫で支えられながら、障害者が貴重な戦力として働いています。

建設現場の前で車を誘導する女性。古川ユリさん(22)は、知的障害を抱えながらも1年半前からフルタイムで警備員として働いています。

警備員 古川ユリさん
「いろいろ病気を抱えている人たちと一緒にいたら、自分も頑張れるなと」

以前勤めていた職場では、うまく馴染めなかったという古川さんでしたが。

警備員 古川ユリさん
「人が優しいことですかね、今の会社のほうが働きやすいですね」

古川さんが働いているのは、福岡市に本社を置く警備会社の「ATUホールディングス」です。全従業員57人のうち23人が障害者で、障害者雇用率は56.1%と、民間企業の法定雇用率2.5%を大幅に上回っています。

ATUホールディングス 岩崎龍太郎 社長
「弱き立場に近い人、ちょっと困っている人に手が差し伸べられていないというのが、今多く発生していること」

社長の岩崎龍太郎さん(48)です。かつて、別の警備会社に勤めていたとき、部下の1人が精神障害を理由に辞めさせられたことに疑問を抱いたといいます。

ATUホールディングス 岩崎龍太郎 社長
「障害だけをみて雇える人、適性がある人が排斥されることがあったから(起業した)」

岩崎さんは会社を退社し、2013年に「ATUホールディングス」を立ち上げました。

事務所には、無線で連絡を受ける担当が常駐。現場から送られてくる日報を常にチェックし、定期的に面談も行っています。

さらに、ベテランの指導員が、実務的なアドバイスをする仕組みも構築しました。

ATUホールディングス 本幡広行 指導員
「状況判断が個人でできない方とかいますので、現場で直接言うようにしています」

指導員の本幡広行さん(50)は元々、別の会社で警備員として働いていましたが、9年前、足の病気によって退社を余儀なくされました。

ATUホールディングス 本幡広行 指導員
「(指導員として)周りに教えてくれということで言っていただいたので」

ATUホールディングスでは、本幡さんのように「障害者」と認定されていない人も多く在籍しています。弱い立場にいる人たちも当たり前に働ける社会の実現に向け、さらに多くの障害者に働く場を提供していきたいと考えています。

ATUホールディングス 岩崎龍太郎 社長
「うちの会社では支えきれない障害をお持ちの方は、世の中にいっぱいいます。その発達を保障できる人間がなるべく増やせる、多くできるように今後とも精進したい」

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