男性が身に着けるものというイメージが強い、ふんどしですが、女性用を作り続ける製作者がいます。
そこにはある思いが込められていました。
松本市蟻ヶ崎(ありがさき)の「あとりえまさこ」。
「こんにちは~」
笑顔で迎えてくれたのはオーナーの赤羽昌子(あかはねまさこ)さん59歳。
「今ちょうど作っていたところなので」
作業を見せてもらうと・・・・
華やかな色の布を縫い進めます。
赤羽昌子さん:
「布の目を整えるのが大事なんですよ。だから今、一本糸を抜いて横を揃えたんですけど、これをやってないと、洗うとズレちゃう」
昌子さんが作っているのは…
「ふんどし(笑)」
ふんどしですか?
「ふんどしで~す!」
日本伝統のふんどし。
しかもメインターゲットは女性なんです。
「よいしょー!」
ふんどし姿の男たちが、無病息災を願い、冷たい水をかぶる伝統行事。
毎年、大寒の夜に行われる長野県御代田町の「寒の水(かんのみず)」です。
ふんどしといえば、「男性が身に着けるもの」とイメージする人も多いのでは?
昌子さんが作る女性用ふんどしとは、どんなものなのでしょうか?
実際に販売している昌子さんが営むカフェを訪ねました。
アトリエでは布しか見てないけどこれ見るとイメージ沸きますね。
昌子さん:
「THEふんどしでございます、ふんどし(笑)」
どうやってつけるんですか?
昌子さん:
「背中に長いエプロンをつける。これをお股からまわしてきて腰のひもにかけると、あらまぁパンツみたいじゃないの。お尻の方も意外と丸くなっているんですよ」
男女によってサイズは?
昌子さん:
「痩せている方でも男性の方が骨格がしっかりしているので、少し男性の方が大きくしていますけど、男と女ってのはただの目印です」
カフェの客にも、積極的にふんどしの魅力や機能をPRします。
昌子さん:
「何が良いかって言うと、一番は鼠径部の締め付け軽減と、お股の擦れがなくなる」
昌子さんの作るふんどしは、ガラの入ったものや、無地のものなど、バラエティーも豊富。
素材にも違いがあり、ラインナップは30種類以上あります。
取材した記者も試着してみることに。
一番触り心地が良かったのこれなんですよ。ふんどし履いてまいります!
昌子さん:
「ふんどしは締める!」
たしかに!締めてまいります!
別室で着替えること5分ほど・・上原記者マネキン持ちながら登場:
「今まさにこの状態なんですけど、普段の下着と違って、通気性の良さと、すごく自由さを感じながらも、優しく包み込んで守ってくれているような安心感もあります」
昌子さん:
「今まで使っていた下着との違いを感じたときに、自分の身体が目覚めるわけですよ」
新しい境地に踏み込んだなって感じはあります。お客さんからはどんな声が?
昌子さん:
「女性からは『全然パンツと違うね』『本当に楽だ』と言われる。下半身のむくみが全然違ってくるから。物理的に締め付けてしまえば血液上がってこれないし」
男性のシンボルともいえるふんどしを女性が締めることについては?
昌子さん:
「それに対する抵抗感を持っている方もいっぱいいて、『かっこ悪い』とか『嫌だ』とか、それはそれでいいんですよ、嫌ならやめれば。だけどいろんな選択肢があるということを伝えたい」
性別にとらわれない選択をしてほしい。
それが昌子さんから女性たちへのメッセージです。
あとりえまさこ 赤羽昌子さん:
「パンツしか選択肢がなければなんにも考えないじゃん。とりあえずパンツを履くことしかないんだけど、なんでもふんどしをやれって言っているわけじゃなくて、あなたはどうですか?好きですか?嫌いですか?やりたいですか?という選択肢を自分で持つということ」
ふんどしというと「お祭り男」のイメージが強いんですけど、そこに性別は?
昌子さん:
「ないないないない!今はそんなのないっ!自分が好きか嫌いか、やりたいかやりたくないか」
昌子さんのアツい情熱で一枚一枚が手作りされるふんどし。
これまでに2000枚以上が販売されました。
ふだんの何気ない生活の中にある常識を疑う心から生まれた昌子さんの信念のカタチ。
2018年に、フランスのパリで開かれたジャパンエキスポに出展し、松本から世界に発信しました。
あとりえまさこ 赤羽昌子さん:
「日本LOVEのイベントだから、WOW!という感じではありました。若い男の子に説明するときに、恥ずかしくてどうしようもなくて、後ずさりしてっちゃう男の子がいて、ここは国境なき同じ反応だ!と思って面白かった」
昌子さんの思いが込められたふんどし。
パリでの経験も生かしながらこれからも挑戦は続きます。
あとりえまさこ 赤羽昌子さん:
「日本の方が男だ女だという意識は、すごくまだ強いなと、下着を販売していると感じる。殴り込みですね。数人なんだけれど『人生変わった』って言ってくれる方がいます。だから、ふんどしがかっこ悪いならかっこ悪いでいいじゃん。『好きだな』って感覚が大事なんですよ。それを感じて選んでいってほしい」
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