東京・歌舞伎町などでの悪質ホストクラブ問題を受け、警察庁の有識者検討会は最終報告書をまとめました。売掛金を取り立てるための女性客への売春の強要などを「禁止行為」に定めるなどし、罰則を強化する方針です。
■社会問題化する「悪質ホストクラブ」
東京・新宿歌舞伎町など繁華街の悪質なホストクラブをめぐっては、女性客が支払い能力を超える高額な請求をされ、ホストや店側に“ツケ”にあたる売掛金を作り、その支払い名目で売春を強要されるなど社会問題になっています。
警察庁によりますと、悪質ホストクラブに関する相談件数は今年に入ってから10月末までに全国で2362件。
全国の警察は、去年1月から今年6月までにホストや性風俗店の関係者らあわせて203人を摘発しています。
一方で、現在の法律では規制が難しいことから、警察庁は、風営法の改正を目指していて、きょう業界団体や弁護士、大学教授などの有識者を交えた「悪質ホストクラブ対策検討会」の最終報告書をまとめました。
この報告書を踏まえ、警察庁は風営法の改正案を来年の通常国会に提出する方針です。
■新たに追加される「禁止行為」と「遵守事項」
現行の風営法では、刑事罰が適用される「禁止行為」に、▼客引き行為や、▼18歳未満の従業員を雇うことなど、違反した場合に行政処分が科される「遵守事項」に、▼18才未満の立入禁止の表示や、▼営業時間、料金の表示義務などが定められています。今回の最終報告書には、「禁止行為」に新たに、▼売掛金の取り立てで女性客に売春を強要するなどの行為が盛り込まれました。
またホストやスカウト、性風俗店が組織ぐるみで女性客から金を搾取する実態を問題視し、▼性風俗店がホストやスカウトから女性を紹介してもらい、女性の売り上げに応じて支払う「スカウトバック」と呼ばれる報酬について、性風俗店側が支払う行為も「禁止行為」に盛り込まれました。
また、「遵守事項」にも、▼料金に対する虚偽の説明や、▼恋愛感情に乗じた女性客への高額請求などが新たに盛り込まれました。
■ホストクラブなどの経営者を一掃するための罰則強化
さらに悪質な営業をしているホストクラブやキャバクラの経営者などを一掃するための罰則の強化案も示されました。
現行の風営法では風俗店の営業許可の取り消しは1つの店舗にしか及びませんが、新たに「密接に関係する店舗が許可の取消処分を受けた場合」を「欠格事由」としてグループ全体の営業許可を取り消せるよう検討する方針です。
このほか、風俗店が営業許可の取消処分から逃れるために事前に営業許可証を返納する行為について、その経営者に新たな営業許可を認めないことなどを盛り込みました。
また有識者検討会は、現行の風営法の最も重い法定刑が2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金となっていることについて、「ホストクラブの売り上げを考えると罰則の抑止効果が不十分だ」と指摘していて、警察庁は風営法の改正案では罰金額の上限を大幅に引き上げることを検討しています。
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