愛媛が生産量全国一を誇る「キウイフルーツ」に、異変が起きているようです。植物の専門家に現場を案内してもらうと、驚きの光景が広がっていました。自然環境への影響が懸念される、その異変とは?

道路わきに大量のキウイ…

愛媛県西予市宇和町の、松山自動車・西予宇和ICに近い県道わきののり面。ここを歩いていると…、キウイのつるが周辺の木々にまきつき、少し小ぶりの実がたくさんなっていました。野山に勝手に生える「野良キウイ」です。

記者が、試しに落ちていた実を食べてみると、少しすっぱいものの、たしかにキウイ。

キウイフルーツは、中国原産のマタタビ科の植物で、去年の収穫量は、愛媛が4660トンで全国1位でした。なぜ、県内で野良キウイが増えているのでしょうか。植物が専門の松山東雲短大、松井宏光名誉教授は次のように指摘します。

松山東雲短大 松井宏光名誉教授
「恐らく人が植えたものではないので、この雰囲気からすると、カラスとか鳥が種を食べて、ふんとして落としたんだろうと思います」

栽培しているキウイは未熟なうちに収穫するので問題はないそうですが、野良キウイは完熟してから動物が食べ、ふんに含まれる種によって広がっていると見られています。

「野良キウイ」の広がりで自然環境への影響が懸念

野良キウイがみられるのは西予市に限りません。キウイ畑が点在する松山市の山間部でも、道路わきや川のほとりに野良キウイが実をつけていました。野良キウイが広がることで、自然環境への影響が懸念されています。

専門家が指摘する問題の一つが「キウイフルーツかいよう病」の感染源となる危険性です。愛媛県内では2014年に大流行し、感染した木を伐採するなど大きな被害が出ました。

農家が管理するキウイ畑では、感染防止のために定期的な消毒を行っていますが、野良キウイは野放しです。キウイの栽培がさかんなニュージーランドでは、対策として野良キウイの管理を実施しているということです。

もう一つは、野山に自生するサルナシなど、キウイの仲間の在来植物と野良キウイの交雑の問題です。

松山東雲短大 松井宏光名誉教授
「日本在来のサルナシとかマタタビとかあるんですが、サルナシとの雑種ができるという可能性も指摘されているので、そちらもまた怖いと思います」

キウイフルーツは、れっきとした外来種です。国は、適切な管理が必要とする「生態系被害防止外来種リスト」に掲載しているほか、愛媛県も「侵略的外来生物」に指定しています。

全国一のキウイ産地を守るためにも、より管理の行き届いた栽培が求められています。ただ、問題の背景には、耕作放棄地の増加などが挙げられていますが、キウイ野生化について県やJAなどは調査を行っておらず、実態を把握できていないということで、専門家は、栽培をやめた時は残った株を除去するよう呼びかけています。

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