自民党の田畑裕明衆議院議員の無断・架空党員登録問題で、富山県連は次の衆院選の公認候補となる選挙区支部長への選任を無期限で認めないことを13日決めました。この問題について、自民党富山県連が離党勧告などの処分を党本部に申し入れなかったことについて、地方政治に詳しい専門家は「少数与党が影響したのではないか」と指摘しています。

12日に開かれた自民党県連の常任総務会。田畑議員の無断・架空党員登録問題の処遇について県連から党本部への申請がない限り、衆院選の公認候補となる第一選挙区支部の支部長を選任しないことを決めました。

次の衆院選で田畑議員が公認を得ることは極めて難しくなっただけでなく、支部に入る政党交付金も支部長として使えなくなります。

昨年度の収支報告書を見ると、党本部から第一選挙区支部へ支給された政党交付金は1200万円でした。

自民党富山県連 宮本光明 幹事長
「離党勧告を上申したり、辞任を勧告する案件かどうかということも党本部を擦り合わせながら、それと同等ぐらいの重い対応を今回取ることになったと思っています」

また、県連は田畑議員の県連常任顧問の解任も決定し、田畑議員は県連の役員として党に関連する行事に出席できなくなります。

田畑議員に自主的な離党を促していた富山市連の中川忠昭支部長は――

自民党富山市連 中川忠昭 支部長
「離党に近い決断だと思います。自民党県連の行事、事業などに参加できないということなんですよね。富山市連においてもこれからまた協議しますけど、同様の取り扱いになってくるんじゃないかなと思ってます」

県連側が田畑議員にとって厳しい判断だと強調する一方、「離党勧告」などの処分は党本部に申し入れませんでした。

専門家「東京側の都合と県連側の都合がぶつかり合っている」

地方政治に詳しい専門家は――

東北大学大学院 河村和徳 准教授
「実際国会議員ですから処分ていうのを県連独自でっていうのはやっぱり難しいっていう中で言うと、すごく消去法的な対応なのかなと思うんですね。処分という話を現段階で持ってくるのはちょっと避けたいという東京側の都合と、いやいやそれはこちら地方として見ると困るっていう県連側の都合がぶつかり合ってる」

その上で、党本部が田畑議員の処分に慎重な背景に「少数与党」が関係しているのではないかと話します。

東北大学大学院 河村和徳 准教授
「一番大きいのは少数与党であると。今処分をして離党勧告を出してしまうってなると、ただでさえ1人でも2人でも欠けても困るところに1人欠けてしまうわけですよね。圧倒的多数だったらすぐ処分しちゃうような気がするんですよね。ですけれども、やっぱり少数与党という状況がそこを許してないっていうところもあるのかなと予想しますね」

衆院選富山1区の公認候補となる第一選挙区支部長が無期限で空席となることを受けて、今後は候補者選考が焦点となり、県連は予備選や公募を含めたあらゆる選考方法を視野に入れています。

自民党県連 宮本光明 幹事長「この段階まで来た時に内部、組織内でこの人に決定しましたというような考え方では納得いただけないだろうなと思っています」

田畑議員は県連の決定を受けて「大変厳粛に受け止めている。党県連所属の国会議員として信頼回復に努める」とコメントしています。

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