最高裁の戸倉三郎長官は、3日の憲法記念日を前に記者会見した。同性婚の実現など性的少数者による訴訟への司法の向き合い方を問われ「国民の価値観や意識の多様化が進んでおり、裁判所は、より適切な紛争解決を追求する使命を帯びている」と強調した。

憲法記念日にあたり談話を発表する戸倉三郎最高裁長官=東京都千代田区の最高裁

 同性婚を認めない民法などの規定は違憲だとして同性カップルらが国に損害賠償を求める訴訟は5地裁に計6件起こされ、高裁判決1件を含む7件の判決が出ており、「違憲」と「違憲状態」が各3件に対し、「合憲」は1件にとどまった。戸倉長官は「問題になっている社会の動きに、裁判官一人一人が主体的かつ自律的に知見を高めることが必要。司法行政としても環境を整える努力が必要だ」と語った。  国会で審議中の離婚後の共同親権制度を導入する民法改正案では、親権について父母が合意できないなら家裁が決めるとされるが、人手不足の家裁が適切に対応できるか懸念されている。戸倉長官は「表面的なことだけでなく背後まで見ることができるかが、大きく難しい課題」との認識を示した上で「判断枠組みを明確にすることが現場の裁判官にとって極めて重要」とした。(太田理英子) 

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