◆「自分と妻を守るため…ばかなことを」
日本有数のコリアンタウン、東京・新大久保。「こちら特報部」は5日、在日韓国人に胸中を尋ねた。 「何てばかなことをしたのか」。目を伏せたのはコスメ店の店長、朴英愛(パクヨンエ)さん(57)。脳裏に浮かぶのは、1980年に起きた光州事件。光州市で大学を封鎖した陸軍部隊と民主化を訴える学生や市民が衝突。戒厳令が出され、多くの人々が命を落とした。韓国の尹錫悦大統領(右)と金建希夫人(2023年3月撮影)
「親戚も亡くなった。あの時の悲しみがよみがえって…。韓国人が民主主義に本気になるのは、あの時の痛みを知っているから。本当に苦しい」と涙ぐんだ。 ブティック経営のキムさん(60)も「大統領と自分の妻を守るために韓国社会の伝家の宝刀を使った。あんなにあっさり抜くなんてありえない」。ヤンニョムチキンを売っていた男性(29)は「韓国の恥。その恥は全て国民に降りかかる」と切り捨てた。◆人権の保障が失われ無憲法状態に
尹大統領は3日夜、最大野党が国政や司法をまひさせたとして、1987年の民主化後初めての非常戒厳を宣言した。軍の戒厳司令部を稼働させたが、国会の解除要求決議を経て、4日未明に解除となった。 韓国の憲法では、戦争や災害など兵力での対応が必要とされる国家非常事態に陥ると大統領が戒厳令を宣言でき、言論や出版、集会などの自由を制限できる。4日朝、ソウルの国会前で、戒厳令を受けて抗議の声を上げる市民ら(斎藤雄介撮影)
山口大の纐纈(こうけつ)厚名誉教授(政治学)は「人権や国のシステムは憲法に保障されているが、それが取っ払われ『無憲法状態』になる命令が戒厳令」と説明する。◆日本でも明治憲法の下では何度も発令
日本の現行憲法に戒厳令の規定はないが、明治憲法にはあった。日露戦争後に賠償金を獲得できず、国民の不満が高まり起きた「日比谷焼き打ち事件」や2・26事件、関東大震災などで出された。「旧憲法では天皇が戒厳を宣告すると定められていた。それは唯一無二の存在が立場を危うくされる場合にだけ使う絶対的な権力だった」(纐纈氏) 今も戒厳令が出るのが、ウクライナだ。現地にいる神戸学院大の岡部芳彦教授は電話取材に「夜間の外出禁止や18〜60歳の男性の出国禁止など緊急事態宣言に近い」と述べる。 「ウクライナの場合、戒厳令中は憲法改正ができないなど、ソ連時代の経験から大統領に権限が集中しないよう工夫される。国によって戒厳令の中身が違う」◆「共産党スパイの摘発」を名目に
戒厳令に潜む危うさは過去の例から浮かび上がる。2022年7月30日、バリケードで警戒されたミャンマー・ヤンゴン市内
フィリピンでは1972年にマルコス政権が戒厳令を布告。議会機能や憲法を停止し、批判的な言論を弾圧した。台湾でも38年にわたる戒厳令時代があり、独裁政権が「共産党スパイの摘発」を名目に取り締まる”白色テロ”が続いた。 纐纈氏は「絶対的な権力は絶対的な独裁者を生む。社会が不安定化すると、権力者はより強い権力を欲する。国民と溝が深まり、さらに不安定化するが、気付こうとしない」と語る。 日本人も戒厳令に無縁ではなく、ミャンマーの発令地区で2022年、国軍のクーデターの抗議デモを撮影した映像作家が拘束され、刑務所に収監された。◆緊急事態条項は「権力者に極端な手段を与え得る」
韓国の非常戒厳を受け、日本の野党議員からは、改憲議論で与党などが新設を求める...残り 1519/3038 文字
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