河村市長の後継として名古屋市の“かじ取り”を担う広沢新市長。
議会多数派との対立も引き継いだ中、公約は実現できるのか。5日は議会との初対決でした。

(名古屋市 広沢一郎市長:11月10日)
「丸ごと河村たかし前市長の政策を引き継ぐ」

15年続いた河村市政の「継承」を掲げる広沢一郎市長。
しかし市議会の顔ぶれは、自民・公明・民主、主要会派のいずれも選挙では対立候補を推していた、いわば「抵抗勢力」。
市長の公約は実現できるのか、注目の議会は?

5日の本会議では初めて議員側から各公約に対する質問が。
まず注目は一丁目一番地の「市民税減税10%」。
河村市政のスタート時も減税幅は10%。

しかし反対する議会をリコールし、出直し市長選で勝ったものの減税幅を「5%」に減らしたいきさつが。
広沢市長は、これをもう一度10%に引き上げる方針ですが…。

市民減税10%の財源は?

(自民 成田隆行市議)
「仮に減税割合を10%に引き上げる場合、相当な規模の行財政改革が必要になってくる。財源確保のめどは立っているのか」

10%の場合、年収500万円の世帯(夫婦の一方は扶養家族、子ども2人)で年間9500円の減税となりますが、市の減収分はこれまでの倍の年間200億円に。
この分の財源をどうするのかという議員側の質問に。

(名古屋市 広沢一郎市長)
「さらなる行財政改革によって、財源を捻出しなければならないと認識していて、実現に向けて最大限努力していきたい」

税収が減る分は行政改革で補えるとしましたが。

(自民 成田隆行市議)
「答弁ありがとうございました。10%減税、それを実施するに値する行財政改革の取り組みを予定しているのかどうか」

さらに異論が…。

(名古屋市 広沢一郎市長)
「行財政改革の具体的な取り組みについては毎年10月上旬に議会に示す、今後の財政見通しにおいて必要な規模感を示した後、再編成作業の中で発表したい」

公約の一丁目一番地とあって広沢市長も引き下がらず、再来年度からの実現を目指すと明言しました。

保育料を0歳児から完全無償化へ

そして続いては。

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(名古屋市 広沢一郎市長)
「子育て世代が抱える経済的負担を少しでも軽減し、働きながら安心して子育てができる基盤をつくりたい」

現在は国の制度で3歳から無償になる保育料。
これを0歳児からの完全無償化に拡大するという公約ですが、こちらも…。

(名古屋民主 橋本浩幹市議)
「所得や年齢問わず『全ての子どもの保育料を完全に無償化する』。目指すべきゴールは、ここで間違いないか」

市によると完全無償化には少なくとも67億円が必要で、さらに利用者が増えることで待機児童の発生や保育士の増員など課題は山積みという指摘が。

(名古屋市 広沢一郎市長)
「全ての利用者の保育料無償化を目指して、できることから着手していく」

実現すれば市民にとって助かる公約の数々ですが、問題は財源。

敬老パス値下げ&子どもパス

(自民 成田隆行市議)
「どうか品のある議論を私ども議会と丁寧に重ねていただきたい」

広沢市長と議会との初対決、続いては敬老パス。

(名古屋市 広沢一郎市長:11月10日)
「『敬老パス』、私の発案ですが値下げをさせていただく」

所得に応じた敬老パスの負担金を5000円から3000円に、3000円から2000円にそれぞれ値下げ。
さらに18歳までは定額で市バスや地下鉄が乗り放題になる「子どもパス」も掲げ、再来年度からの導入が公約です。
これも市民にとってはうれしいサービスですが。

(公明 長谷川由美子市議)
「広沢市長が考える敬老パス制度の在り方について、お聞かせください」

敬老パスの値下げ分だけで3億円の減収と、こちらも巨額の財政負担につながりますが…。

(名古屋市 広沢一郎市長)
「便利で使いやすいものにし、高齢者の皆さまがこれまで以上に日々の暮らしを豊かに生き生きと生活していただけるよう、制度の充実に取り組む」

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