今年で採択から35年の「子どもの権利条約」
「子どもの権利条約」。
世界中のすべての子どもに、生まれながらにある権利をまとめた条約です。
国連で採択されてから今年で35年、日本が批准してから30年という節目の年です。
そこで今回は、11月9日(土)、10日(日)に立教大学・池袋キャンパスで行われた「子どもの権利条約フォーラム2024 in 東京」を取材してきました。
取材した10日(日)には子どもの権利にまつわる28の分科会が各教室で開かれました。
この中で私が伺ったのは、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン主催の『ゲームやアクティビティをしながらみんなで考えよう!【学校で子どもの権利を大切にすること】』と題した分科会です。
親子連れや子どもの支援団体の方など、約20名が5人ずつくらいのグループに分かれて、会の前半は「こどものけんりブレスレット」を作りました。スタッフからは次のような説明がありました。
(スタッフの説明)
「今日、皆さんのお手元に『子どもの権利条約条文一覧』というのが配られています。この権利好きだな、この権利すごく大事だよね、というのを1つ選んでみてください」
「今日はその中からキーワードを使ってブレスレットを作っていきます。例えば24条は『いつでも健康でいるために保健のサービスを受けることができるよ』みたいな権利なんですけれども、そこから『Health』というキーワードを引っ張ってきてブレスレットにしました」
子どもの権利条約は全部で54条あります。
43条から54条は国や国際機関・その他の組織や団体に関する条文で、1条から42条が、特に子どもたちに知ってほしい条文となっています。
その42条までの一覧表が配られ、その中から、自分の好きな条文と、関連の英単語をピックアップします。
各テーブルには、アルファベットや数字が印字されたビーズが用意され、それをつなげて輪っかにして、条文の番号と英単語を織り交ぜたブレスレットを作る、というものでした。
参加者1
「なんで29条にしたんですか?」
参加者2
「元々すごく子どもの教育に興味があって、教育に関連するものがいいなと思って。結構、教育が受けられない子どもって世界にいるけど、教育の重要性を大人が認識していない場合があるなと思って。別に教育受けてなくても幸せだったらいいんじゃない、みたいなことを言う人もいるので。でもこの条文には目的まで書いてあるところから、なんかすごいいいなと思って」
29条の内容は「教育によって、自分の身体と心を成長させる権利があります。教育の目的には、人権、母国や生まれ育った社会の価値観や言語、平和、友好の精神、自然環境を尊重することなどが含まれます」といったものです。
英語のキーワードでいうと「EDUCATION」ですね。
前半パートでは、このように楽しく「子どもの権利条約」への理解を深めました。
子どもが安心して話せる相手、場所について考える
会の後半は、各グループでディスカッションが行われました。
テーマは「安心して話せるって?」子どもが話したいことを安心して話せる相手や場所について共有しました。参加者のやりとりです。
参加者1
「妹と、幼稚園の頃からの親友。何話しても許す同士の関係だから」
参加者2
「やっぱりそうした土壌があるからってことだよね」
参加者3
「友達ってさ、なんかさ、秘密とか誰にも言わないじゃん。 ママとパパは信用できるか分からない。先生に言っちゃう」
参加者2
「確かに先生に相談しちゃうかもしれないもんね。先生も、確かに親に言っちゃうかもしれないもんね」
おしまいに、子どもの権利条約の中で「安心して話せる」ことと関連するものとして、12条の「意見を聞かれ、正当に重視される権利」が紹介されました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、今回のような催しを学校訪問の形でも行っています。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部・社会啓発チームの塚田祐子さんはその手ごたえについて、こう話しています。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 塚田祐子さん
「もっと知りたい、もっと1つ1つの権利について知ってみたいという声がたくさんアンケート等で寄せられる事がありまして、それでもやっぱり学校の先生たちの忙しさであったりとか、子どもの権利を学ぶということがカリキュラムに含まれていないということもあって、なかなかそれが実現できない、というような背景があるんですけれども、子ども達は学びたいと思ってくれているという所に ひとつ嬉しさというか、手ごたえを感じたことはございます」
セーブ・ザ・チルドレンは、「こどものケンリ」というウェブサイトで子どもの権利条約の条文一覧や学校などで使える教材を公開しているので、活用が増えたらいいなと思います。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:中村友美)
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