全国で閉業・休業など、苦戦を強いられているスキー場ですが、鳥取県の国立公園大山のスキー場、だいせんホワイトリゾートの「中の原」エリアの運営について、大山町は来年度以降の指定管理者を公募する方針であることが分かりました。仮に現在の指定管理者が手を挙げなかった場合、スキー場はどうなってしまうのでしょうか。
だいせんホワイトリゾートは国立公園大山にあり、中の原・豪円山・上の原・国際、4つのゲレンデからなる西日本随一の規模のスキー場。今年は、12月21日のオープンを予定しています。
そんな中…
大山町商工観光課の担当者
「4つのゲレンデのうち指定管理で運営している『中の原』について、今回は公募を行う予定です」
4つのゲレンデは、鳥取市の日本交通のグループ会社2社が運営に関わっています。このうち中の原は、スキー場の一体的な管理を目的に、大山町が2010年度から指定管理者制度を導入。これまで「だいせんリゾート」が運営してきましたが、現在の3期目(1期5年)が来年3月末に満了となります。
2期目・3期目と期が変わる際には、大山町は同社の営業実績を評価し、公募を行わず継続してきました。
しかし町は、来年度4月以降の指定管理者は公募する予定で、募集条件は町で協議し、来月以降の町議会で説明するなどして内容を固めていくとしています。
今回、4期目の指定管理者の選定が公募になった理由について、ある関係者は次のように話します。
関係者
「日本交通さんが満了期間の翌年2026年3月で、中の原の指定管理から撤退する意向を示していると聞いている」
この件について、日本交通の担当者は…
スキー場運営に関わる日本交通の担当者
「まだ公募条件が出ていないので、現時点でコメントできることはない。ただ今年の春、大山町に、指定管理が終わる2025年3月末以降の弊社の方針を示した」
日本交通としての意向は現時点で明らかにできないとしながらも、担当者は続けて、スキー場を取り巻く厳しい状況を話してくれました。
スキー場運営に関わる日本交通の担当者
「近年、人手不足と雪不足が深刻で、年々利用者が減少しています。スタッフが集まり辛いオープンから1月末までのアルバイトの時給については、今年大幅にアップしました」
冬季限定のアルバイトとしてスキー場の営業を支えてきた地元の人は多くが高齢化し、リフトの運行を管理するスタッフを確保できないという事態が顕在化。そこに、雪不足が追い打ちをかけ、去年は一部のコースでリフトが動かせず、オープンできない期間もあったといいます。
そして、スキー人口の減少も重なり、ピーク時の1995年には年間40万人を超える来場がありましたが、去年は極端な雪不足もあって約7万7000人と、利用者は激減しています。
スキー場運営に関わる日本交通の担当者
「各設備の修繕など、投資にかける部分がかなり大きく、儲けという話ではない」
設置から35年を超えるリフトなどの修繕費用や人工降雪機の購入費用など、設備投資が膨らんでいる状況だということです。
全国各地でスキー場の運営は苦戦を強いられていますが、近隣では江府町の奥大山スキー場が2017年度から指定管理者制度の導入を検討するも見つからず、2019年度から現在に至るまで、休業する事態となっています。
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