栃木県那須町で夫婦の遺体が見つかった事件が急展開しました。警視庁は5月1日、新たに実行役とみられる元俳優の20歳の男ら2人を相次いで逮捕しました。

■「2023年に飲食店で知り合った飲み友達で、本名は知らない」

井上貴博キャスター:
事件の全体像が少しずつ見えてきました。

4月16日に栃木県那須町で、2人の焼けた遺体が見つかった事件で、東京・上野を中心に飲食店を経営していた宝島龍太郎さん(55)と妻・幸子さん(56)の死亡が確認されています。

この事件では、これまでに佐々木光容疑者(28)と平山綾拳容疑者(25)の2人が死体損壊の疑いで逮捕されています。

5月1日、新たに2人が逮捕されました。韓国籍の姜光紀(カン・グァンギ)容疑者(20)と元俳優の若山燿人容疑者(20)で、死体損壊の疑いがもたれています。

供述などから、「指示役」とみられている佐々木容疑者が、「仲介役」とみられる平山容疑者に遺体の処分を依頼。平山容疑者が姜容疑者と若山容疑者に遺体の処分を依頼し、2人は「実行役」とみられています。

佐々木容疑者と平山容疑者は、2024年2月~3月ごろに知り合い、SNSを通じてやりとりを行っていたといいます。名字は知らず、下の名前で呼び合っていたということが分かってきました。

今回、逮捕された2人について平山容疑者は、2023年に飲食店で知り合った飲み友達で、本名は知らないと供述し、「姜・燿人と呼んでいた」と話しているということです。

指示役とみられる佐々木容疑者と、実行役とみられる姜容疑者、若山容疑者は面識がないとみられています。

■元警視庁公安部捜査官は「ずさんな部分が多いのでは」と指摘

ホラン千秋キャスター:
「何度か飲んだだけ」、「名前も知らない」という希薄な関係で、どのように犯行を行ったのか、他にどのくらいの人物が関わっているのか、まだ分かっていません。

このような構図の犯罪は以前からあったのか、SNSなどの普及で最近生まれたものなのか、どのようにみていますか。

元警視庁公安部捜査官 稲村悠さん:
2023年の広域連続強盗事件に関して、警察庁がいわゆる「トクリュウ」と名づけましたが、あの事件と闇バイトという部分では構図が違います。

しかし、関係の希薄さを利用して、レイヤーを重ねて犯罪を行っていくという点では類似点があると思います。

ホランキャスター:
どの人物が何を担っていたのか、これからの捜査で分かってくると思いますが、どんな罪が考えられますか。

萩谷麻衣子弁護士:
宝島さん(夫妻)は殺害された可能性が高いと思いますが、誰が殺害したのか、殺害動機は誰にあったのかなど、役割によって罪名は違ってくると思います。

また、行為としても死体遺棄のみなのか、殺害にも関与していたのか、状況よって変わってくると思います。

井上キャスター:
最近は匿名性の高いSNSなどで、その場限りの犯罪グループを集約している印象です。

本丸が分かりづらく、捜査がしづらいといわれている一方で、組織としての繋がりが薄く、自分の責任を軽くするため、上の立場の人物の名前を出すなど、供述内容がポロポロ出てくる部分もあるように思います。この状況は捜査にどう影響しますか。

元警視庁公安部捜査官 稲村悠さん:
供述が出てくるという面では捜査がしやすいと思います。

供述が事実なのかということも含めて慎重に捜査を進めていると思いますが、供述が出やすいという点は、今回の事件の特徴かと思います。

一連の広域強盗事件は、今回の事件のようにポロポロと供述が出ることは少なかったので、今回の事件はずさんな部分が多いように感じます。

■指示役とみられる佐々木容疑者「ある人物から4月初めに遺体の処理を頼まれた」

井上キャスター:
供述内容からお金の動きについても明らかになってきました。

4月16日に品川区の居酒屋で、指示役とみられる佐々木容疑者が平山容疑者に1000万円以上の報酬を渡したとみられています。

元警視庁公安部捜査官の稲村氏は「浅い関係性だからこそ、“カネ”で犯罪をさせやすい」と指摘しています。

指示役とみられる佐々木容疑者は、「ある人物から4月初めに遺体の処理を頼まれた」と供述しています。佐々木容疑者に指示をだした“上役”が存在しているとみて、警視庁は捜査を進めています。

ホランキャスター:
「浅い関係性だからこそ」とは、どういうことでしょうか。

元警視庁公安部捜査官 稲村悠さん:
2023年はSNSで知り合って凶悪な犯行を行うケースが非常に多く見受けられました。表現が適切ではないかもしれませんが、そういう意味では今の犯罪のトレンドになっている可能性はあると思います。

ホランキャスター:
こうした形で行われている犯罪が多くあるということですか。

元警視庁公安部捜査官 稲村悠さん:
SNSで知り合ったグループの犯罪というのは強盗や特殊詐欺などでみられていたと思います。

今回のいわゆる「死体遺棄事件」で、この手法が用いられているという点が気になるところです。

ホランキャスター:
どれだけ組織性があると思いますか。

元警視庁公安部捜査官 稲村悠さん:
さらに上に何人の人物がいるのかという情報はまだ出ていませんが、一定の人数がいるだろうとみています。

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<プロフィール>
稲村悠さん
元警視庁公安部捜査官
危機管理コンサルタント
多くの諜報活動の取り締まりや情報収集に従事

萩谷麻衣子 弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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