11月8日、厚生労働省はインフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表しました。すでに医療機関ではインフルエンザの予防接種が始まっていますが、今年10月から始まった新たなワクチンが親世代を中心に注目を集めています。
受付のモニタ画面に映るのはインフルエンザの予防接種を呼びかける表示。
石川県野々市市の中村小児科医院では、本格的なインフルエンザの流行を前にワクチン接種を呼びかけています。
予防接種の現場では…
この日、病院を訪れた山下青くん(5歳)と山下日彩ちゃん(2歳)のインフルエンザの予防接種は、これまでとは違うものでした。
中村英夫 医師:「これまでの注射のワクチンとは違って鼻に噴霧するタイプになります」
10月から接種が始まった新ワクチン「フルミスト」は、注射しない予防接種とあって注射針に抵抗を示す子どもにはうってつけと言えるワクチンです。
接種は1シーズンに1回で対象は2歳から18歳です。
従来の注射型のワクチンは死んだウイルスの一部を使った不活化ワクチンと呼ばれるものですが、フルミストは弱毒化したウイルスが入った生ワクチンを左右の鼻それぞれに0.1ミリリットルずつ噴霧するものです。
この日、フルミストを接種した山下きょうだいのようすは…
「やっぱり針は不安」親にも好評…3割が選ぶ新ワクチン
2歳の日彩ちゃんは泣かずに接種を受けたものの、5歳の青くんは、これまでの注射針の印象が強いからか泣きながら接種を受けていました。
母親「意外と下の子が泣かなかったので良かったと思います。やっぱり針は不安ですし、今後のトラウマになるので嬉しいですよね」
接種時間も事前の問診を含めて3分程度とこれまでと変わりありませんが、ゼラチンアレルギーがあると接種できない場合があります。取材した病院では11月中旬までにおよそ3割がフルミストを選んだほか、親からの問い合わせも相次いでいます。
中村英夫 医師「注射を嫌がる子が多い中で、痛みは全くないという点が選ばれる理由として大きいかなと思っています」
決め手は“痛くないこと”…価格は?
一方、これまでの注射でのワクチン接種を選ぶ人も。
小児科医の中村医師は、その理由として、フルミストの接種が始まったばかりで実績に乏しい点と、注射よりも値段が2倍ほど高い点にあるのではないかと考えています。
中村英夫 医師「小児科学会でもガイドラインは出していますし、有効性に関しては旧来型のワクチンと同等か、あるいは個人的にはそれ以上だと思っています。流行株がいろいろと変化しますけど、多少の流行株のズレがあってもカバーできるというメリット、それから痛くないというようなことで接種を勧めています」
病院からのLINEメッセージやインターネットなどで薬を知った山下きょうだいのお母さんは、痛くないことが決め手になったと話します。
Q来年はどうしますか?
母親「鼻からのワクチンで行こうと思います」
気になる大人用のワクチンですが、中村医師によりますと、海外ではすでに接種が始まっているということです。また、副反応について接種後に風邪のような症状が出ることもあるとしています。
中村医師は本格的な流行の前に入る11月中には予防接種を受けてほしいと話していました。
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