水俣病の公式確認から68年となった、きょう5月1日、熊本県水俣市で犠牲者の慰霊式が開かれました。鹿児島の患者らも参列し、「水俣病を風化させてはならない」と訴えました。

1日、開かれた慰霊式には熊本・鹿児島の患者や遺族らおよそ670人が参列しました。

水俣病は1956年5月1日に公式に確認された四大公害病の1つです。原因企業のチッソがメチル水銀を含む排水を海に流し、汚染された魚介類を食べた住民らが、手足のしびれなど神経障害を発症しました。

1日の慰霊式では亡くなった人への献花の後、患者と遺族の代表が祈りの言葉を述べました。

(熊本の遺族 川畑俊夫さん)「水俣病の申請をした人、しなかった人、戦った人、そうでない人、拳を振り上げなかった人たちでも何かしら水俣病に巻き込まれてきた」「もう二度と公害病を起こさないように願っています」

鹿児島県などによりますと、水俣病と認定された人は先月15日時点で、熊本1791人、鹿児島493人のあわせて2284人。このうち9割の2055人が亡くなっています。

また、鹿児島と熊本では今も、あわせて1400人が県や国に患者認定を申請し、審査を待っています。

慰霊式に参加した長島町・獅子島の滝下秀喜さん(64)は、両親や祖母とともに自身も水俣病と認定され、今も手足のしびれに悩まされています。

(水俣病被害者獅子島の会 滝下秀喜会長)「水俣病を風化させないように後世にずっと伝えていきたい」

水俣病を巡っては、水俣病と認定されず、救済策の対象にもならないのは不当として鹿児島の住民らが国などに損害賠償を求めた裁判で、熊本地裁は今年3月、原告144人全員の訴えを棄却。

一方、同様の裁判で大阪地裁は去年9月、原告全員を水俣病と認め国などに賠償を命じていて、司法の判断が分かれる形となっています。

(記者)「水俣病が公式確認されて68年。高齢化が進み、鹿児島・熊本の認定患者の約9割はすでに亡くなっている。歴史と教訓を次世代にどうつないでいくかが問われている」

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