2014年に起きた最大震度6弱の長野県北部の神城断層地震。大きな被害に見舞われた白馬村では、災害を語り継ぐ活動が根付いてきています。
10年前の地震当日と同じ、快晴に恵まれた11月12日。白馬村が主催するツアーが開催されました。
募集定員の25人は村内の住民ですぐにいっぱいになったと言います。
案内役を務めるのは、白馬村アーカイブサポーターと呼ばれる地域の住民たちです。村内の災害の歴史を伝える、住民ツアーです。
巡るのは、神社仏閣や遺跡のほか、地形の成り立ちが分かりやすい場所などを含め10箇所あまり。歴史や自然の話を交えることで、災害という切り口だけではハードルが高い住民にも、参加しやすい内容にしました。
2014年11月22日夜。白馬村を震源とする、最大震度6弱の地震が発生し、白馬村・小谷村を中心に81棟が全壊。大きな被害の一方で、地域の助け合いから1人の犠牲者も出なかったことで、「白馬の奇跡」とも言われました。
アーカイブサポーターを務めるメンバーは23年、信州大学の協力を得て村の公民館講座で地域の災害史を学びました。今回初めて、そこで学んだ知識を生かし、村民向けに災害の記憶を伝え継ぎます。
一行が訪れたのは、被害の大きかった三日市場の地震伝承館。所有者の意志で残された被災当時のままの建物を見学しながら、10年前の揺れの大きさを想像します。
住民が同じ目線で、学びを共有し合うことで、より身近な知識として災害を知ることができるといいます。
今回のツアーには、村内に住む聴覚に障がいがある女性も手話ができる友人と一緒に参加していました。
女性は:
「やっぱり、自分の地元のことはいろいろ知りたい。こういう機会はもっと増やしてほしい」
さらに地震後に移住してきた住民は、「参加して良かったです、今まで全然知らなかったことだったから」と話していました。
サポーターは、3時間以上かけて、地震の爪あとが残る地区や、断層を巡り、これまで学んできた地域の災害の歴史を参加者に伝えて歩きました。
サポーター簑島正尋さん:
「神城断層地震があって10年たってどのくらい復興できているか、これからどうしたらいいんだろうと、地震は必ず来ますのでそれに備えるという意味で」
村民から村民へ。地域の新たなつながりが次の災害に備える力になります。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。