会津山塩をつかった澄んだ琥珀色のスープに、小麦の風味が香る「もちもち」とした中太のちぢれ麺。

その一杯を求めて、きょうも店内は満席です。

佐藤和幸さん
「これまで祖父母が大切にしてきたお客様を、我々も大切にしながら、一杯一杯
愛情をこめてラーメンを作ってきました。」

会津若松市でおよそ50年続く、人気ラーメン店『うえんで』。

3代目の佐藤和幸さんは、6年前に店を継ぎました。

会津若松市と喜多方市の店舗を行き来しながら、父の和也(65)さんとともに、店を切り盛りしています。

独特の響きがある『うえんで』という店の名前。
実は、地元に根差した由来がありました。

佐藤和幸さん
「フランス語っぽいっですねってよく言われるんですけど、当時地名が上ノ台という地名だったんですけど、上ノ台を現地の方々がなまってうえんで、うえんでと
呼んでいまして、そのまま店名にしました」

祖父の昭一さんと祖母の民子さんが、およそ50年前に始めた『うえんで』。

その味は長年、地元の人たちの胃袋と心を満たしてきました。

佐藤さんは大学卒業後、東京でITコンサルタントなどの仕事をしていましたが、自然豊かな環境で子育てがしたいと、2011年、家族とともに会津若松市に戻りました。

佐藤和幸さん
「(その当時)祖父母がまだ働いていたんですけど、歳がもう90近くなっていてもうなかなか続けられないと、お店をたたもうとう話がでてきまして。」

そして、長年支えてくれた多くの人のためにも店の味をつないでいきたいと、和也さんとともに、店を継ぐことを決めました。

ラーメン作りの経験がなかった佐藤さん。
受け継いだ味を守りながら、独学で技術を身に着けたといいます。

佐藤和幸さん
「実は誰からも指導というかそういったものを受けてなくてですね。自分なりに研究してやっていまして。」

こうして誕生したのが、店の看板メニュー「会津山塩ラーメン」です。

佐藤和幸さん
「醤油ラーメンが足し算で構成しているのに対して、山塩ラーメンは最低限のこだわりの食材を引き算方式で作っているラーメンなんですけど」

その特徴は透き通るような琥珀色のスープ。

佐藤和幸さん
「タレだけで結構うま味の強いものを作っていまして、それに対してスープは、昆布ですとか、貝柱を使って。」

ベースとなる「かえし」には動物系のうま味をプラスし、そこに魚介でとったスープをあわせることで、濁りのない澄んだスープができあがります。

佐藤和幸さん
「なかなかバランスをとるのがむずかしいんですよね。絶妙な加減で、あっさりしていてコクがあるのが山塩ラーメンの特徴なんですけど、いまの状態は、私の中では一つの完成形かなと思っています。」

いまでは店の看板メニューとなり、県内外からその味を求め、平日でも行列ができるほどだといいます。

一方、メニューをみてみると意外な商品を発見。
ラーメン店なのに焼き鳥?

佐藤和幸さん
「創業した当時、まだ流行っていなかった時代が続いていたらしいんですけど。」

本店をかまえる会津若松市の大戸地区は、人気店が並ぶラーメン激戦区。
いまでこそ連日満席となる人気店ですが、創業まもない頃は客足が伸びず、小さな寸胴でスープが足りるほどだったといいます。

佐藤和幸さん
「ラーメンに何か合うものがないかということで、唐揚げですとか、餃子ですとか、モツ炒めですとかいろんなことを試した結果、焼き鳥、豚のカシラなんですけど、焼き鳥が一番人気だったと。」

豚のカシラの「焼き鳥」と呼び、これが大当たり。

常連客の間では、いまでも『うえんで』と言えば、この「焼き鳥」という人もいます。

「焼き鳥」の仕込みや調理は、父・和也さんが担当。
早朝から一本一本手作業で串打ちをします。

父・和也さん
「(仕込みは)毎朝も毎夜もやっている。ラーメン屋なのか焼き鳥屋なのかわかんなくなるな。」

じっくりと香ばしく焼かれた名物の焼き鳥。
多い日には一日におよそ500本の注文が入るといいます。

地元のみならず、県内外の多くの人に愛される『うえんで』。
佐藤さんはこれからも、老舗の味を未来につないでいきます。

佐藤和幸さん
「これまで祖父母が築いてきた50数年間、たくさんのお客様に愛されてきましたので、次の百年目に向けて、より多くのお客様に愛されるように、私も心を込めて、一杯一杯ラーメンを作っていきたいなと思います」

『ステップ』
https://www.tuf.co.jp/general?id=147
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年11月14日放送回より)

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