「アナフィラキシー経験あり、1歳と4歳のときに小麦と乳製品でアナフィラキシーショック」
アナフィラキシーショックとは、時に命が危険な状態に陥ることもあるアレルギー症状のこと。
そんなヒヤッとする言葉を交わしていたのは、子どもたちの1泊2日のお泊りキャンプを企画した、アレルギー患者を支援する団体のメンバーです。
キャンプに参加するのは、重度の食物アレルギーのある子どもたち。
県内で初めて金武町で開催された、「アレルギーっ子キャンプ」です。
一見ごく普通のキャンプでも、アレルギーのある子どもにとっては、特別なイベントです。
すべての人に健康と福祉を
医師の監修を受けて作成した調査票をもとに、アレルギーだけでなく、ぜんそくなど他の疾患についても把握し、細かく配慮。
会の運営メンバーもアレルギー当事者の家族や関係者で、10年前から「アレルギーっ子キャンプ」の構想を練ってきました。
▽沖縄アレルギーゆいまーるの会 大田なつき会長
「自分で食を選択する力を身につけないと、なかなか外に出ていく気持ちになれないので、自分で何かを作るプログラムを取り入れて企画しています」
参加したのは5組の親子。子どもたちは重度のアレルギーため、毎日の学校の給食や外食でも食事制限があります。
参加児童:「乳、小麦、卵、ピーナッツ、くるみ(がダメ)」
ー普段、友達と同じものを食べられないのはどんな気持ち?
参加児童:「ちょっと、一緒に食べたいという気持ちはある」
安心してキャンプに臨めるよう、アレルギーの専門医や看護師なども同行し、体調や持参薬を確認した上で、キャンプスタートです。
昼食スタート:「おいしい弁当いただきます!」
初日の昼食は、ハンバーガーのランチボックス。提供する食事やおやつは、重篤度・症例数の多い8大アレルゲンを含む、15品目を全て除去した献立です。参加者みんなが同じものを食べることができます。
おやつを配るときも、スタッフがしっかりと説明。アレルゲンの確認方法など、外出先での注意点を学びます。
スタッフ:「みんな、これって見る?お母さんとかお友だちからもらったお菓子。後ろに小さい字がいっぱい書いてあるの。ちゃんと家の人と、大丈夫か確認してもらって、それからおやつタイムに入ってもらえたら」
参加児童:「これ大丈夫?」
大人:「どれも大丈夫だよ」
そして夕食づくりにも挑戦。使用する調理器具は個別に用意したもので、食材や調味料もアレルゲンの混入がないよう、製造メーカーにも確認を取っています。
スタッフ:「がんばれ、がんばれ、よそ見しないよ」
子どもの傍らでは…保護者たちが情報交換。当事者間のネットワークづくりも、このキャンプのねらいのひとつです。
参加者全員:「みんなで作ったカレーいただきます」
参加児童:「熱っ!」
1泊2日のキャンプ。誰も体調を崩すことなく、無事、日程を終えることができました。
参加児童:「自分でご飯を作って、みんなで遊ぶところが楽しかったです」
「アレルギーのことが学べて嬉しかった。心配しなくても食べられた」
保護者:「生き生きしてた。食に関して今回は何も気にしなくていいという、みんなが分かっているので、気にせず、何でも食べていたのが良かった」
体調や食事のことを心配せずに宿泊することは、重度のアレルギー当事者には貴重な機会。親にも子どもにも、最高の経験になりました。
▽沖縄アレルギーゆいまーるの会 大田なつき会長
「アレルギーのことを気にしないで、みんなと楽しめるって。楽しいんだ、って。本当に見ていて思いました。また次もこういう企画ができるように、まわりの協力を得ながら、やっていきたいと思っています」
(取材 比嘉チハル)
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