タピオカやフローズンドリンクなどに欠かせないストロー。脱プラの流れに多くの企業が紙ストローを導入したが、「苦手だ」という人も。ほかの選択肢を見つけました。

■脱プラスチックに「マイストロー」の動き

井上貴博キャスター:
日々、何気なく使っているものを少しずつでも減らしていくことができないかという取り組みです。

日本でも進んでいますが、先進的だと言われるのは台湾です。

台湾ではこう言われています。

「環保吸管」(意味:マイストロー)

つまり「マイストローを持ちませんか」という取り組みです。

台湾では、タピオカドリンクが給食でも提供されるほどの人気ぶりだそうです。

1日に3杯飲む人もいるとのことですが、その都度プラスチックのストローを使うより、他のものを使った方がいいのでは、ということで先進的に技術が進んでいます。

Q.紙ストローが増えてるなという感じありますか?

30代女性
「あります。時間が経つと、ふにゃふにゃになるんですよね」

20代男性
「僕はあまり好きじゃないです。やっぱり慣れてないので、ちょっと使いにくいなって感じます」

世界の脱プラの流れの中で注目された「紙ストロー」ですが、ふやけて飲みにくいなど、不満の声も少なくありません。

これからの季節、フローズンドリンクやスムージーなどで、使う機会が増えるストロー。そして、いまでも根強い人気があるタピオカドリンクは、ストローがないと飲むことが難しい。

脱プラには、紙ストロー以外の選択肢はないのでしょうか。

Nスタは、タピオカの本場にヒントがあると聞き、台湾を緊急取材しました。

Q.台湾の人にとって、タピオカドリンクはどんな存在ですか?

女性
「仲間」「幸せメーカー」

男性
「なくてはならない存在だね」

■「ストローはいらないです」 台湾が2030年までにプラスチックのストローを全面禁止へ

タピオカドリンクをこよなく愛する台湾の人は、どんなストローを使っているのか、店を訪ねると…

店員
「お待たせしました。ストローいりますか?」

20代女性
「いらないです」

ストローがいらないとは、どういうことでしょうか。

20代女性
「あ、ストローですか?これはマイコップですが、ストローがついているんですよ」

他の人も…

40代女性
「繰り返し使えるストローです」「タピオカ用の太いタイプ」

さらに…

10代女性
「私はマイストローを持ち歩いていますよ。細いタイプと太いタイプの2種類入っています」

日本より先に、2019年からファストフード店など約8000事業者を対象に、店内飲食時のプラスチックストローの提供が禁止された台湾では、「マイストロー」を持っている人が多いそうです。

洗って何度も繰り返し使えるマイストローはデザインが豊富で、金属製やガラス製など、素材も様々あります。

良杯製所OoLab 店員(台湾・台北)
「こちらはシリコンのストローです。 折りたためるので、小さいカバンにも入って持ち運びが便利ですよ」

台湾では、2030年にはプラスチックのストローは全面禁止する予定としています。

■日本では「第三のストロー」

世界で脱プラの動きが高まる中、日本のストローにも新たな動きがあります。

ストローの国内トップシェアの「日本ストロー」を取材しました。

井上キャスター
「脱プラの流れっていうのは相当敏感に?」

日本ストロー 取締役 依田友行 営業部長
「ストローを環境素材に切り替えていく流れが本当に早くなりました」

これまでは、プラスチックストローしか作っていなかったといいますが、いまは紙でも、プラスチックでもない、「第三のストロー」を作っているといいます。

日本ストロー 取締役 依田友行 営業部長
「このストローが海洋でマイクロプラスチックにならずに、分解できる。カネカという会社のグリーンプラネットという素材なんです」

日本ストローで生産しているストローは、約7割が植物由来のものなんだそうです。

さらに、今後は植物由来のストローもリサイクルできるようにし、持続可能な世界を目指していきたいといいます。

■植物由来・竹製・サトウキビ製ストロー 使ってみると…

井上キャスター:
あくまでもプラスチックが悪いというわけではありません。

日本はプラスチックを焼却する高い技術を持っている。でも少しずつ変えられるところを変えていきましょう、という取り組みです。

日本で紙のストローが結構出回ったと思いますが、取材した「日本ストロー」でも打って出ようと思い、技術開発をして、工場も作ったそうです。

でも、どうも反応が芳しくないと、1年で撤退しています。それでも相当な投資をした。その次に出てきたのが、植物由来のものです。日本もやれることは1つずつやっています。

日本でもマイボトルは主流になりましたが、台湾では特にストローのついたものが2000円から3000円くらいで売られていて、一般的に持って行動しているそうです。

他にも、6か月以内に90%以上が分解できる▼植物由来のプラスチック製ストロー、▼ガラス製ストロー、▼竹製ストロー、▼サトウキビ製ストローなどがあります。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
サトウキビ製ストローは、プラスチックとほとんど変わらない。感触は、プラスチックの少し硬いくらいな印象です。紙製のストローは強度が弱いという心配があったと思いますが、サトウキビ製は強度も結構ありそうですね。(舌触りは)少し紙っぽいざらつき感はありますが、味に干渉するような感じはないです。

竹製ストローも体験してみますが、表面はザラザラしていますね。舌触りも少しざらっとしていますが、味は全然変わらないですね。

ガラス製ストローは、少し太いですね。今までよりも大量に吸えます。

ホラン千秋キャスター:
太いストローが当たり前なくらい、台湾でタピオカは日常のものなんだと感じます。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
環境への意識を持っていても、ストローを持ち歩くところまで意識が働いていないので、もう少し意識していかなければいけないという気持ちになりました。

井上キャスター:
もちろん課題としては衛生面などがあります。台湾出身のスタッフが実際に持っているものを借りましたが、セットで掃除ができる器具もついています。

「これでもう5年~10年くらい使ってるんですよ」と話してましたが、どういうふうに衛生面を保ちながら広めていくのか、1つ課題として挙がっているようです。

ホランキャスター:
割れやすいなどはないんですか?

井上キャスター:
割れやすいということはないと思いますが、割れるリスクはもちろんありますよね。お子さんが使ったときに、(割れた場合)破片が当たるなどのリスクはゼロとは言えないと思います。

■当時16歳の投稿がきっかけで全面禁止へ

井上キャスター:
台湾で取り組みが加速した背景についてです。

台湾で2015年から導入された「Join」という市民が法律を提案できる仕組みがあります。

投稿から60日以内に5000人が賛同すると、行政の関連部門は2か月以内に回答しなければいけないそうです。

それで今回、行政側が回答したということで、2030年までに使い捨てプラスチック製品を全面禁止にするという動きにつながったそうです。

その最初の取り組みを行ったのが女子高校生です。2017年に、王宣茹さん(当時16歳・高校1年生)は、「使い捨てプラスチック製品を段階的に禁止すべき」と「Join」に投稿しました。

そこから広がっていき、台湾では2030年までに、使い捨てプラスチック製品を全面禁止にするところまで打って出ました。このような先進的な取り組みを台湾が行っています。

ホランキャスター:
しっかりと人々の言葉に耳を傾けようという、このシステムはすごいですね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
市民が政治に積極的に参加しているのは、やはりうらやましいと思います。

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松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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