すごいワン...名前を言われれば、どのおもちゃか分かる「天才犬」 Cookie the Pom-Unsplash

<おもちゃの名称を2年後も記憶...言語を学習する「天才犬」の研究が進んでいる>

犬は「おすわり」を学べるし、「お手」だってできるようになる。だが、ギフテッド・ワードラーナー(GWL、言語学習の才能を持つ犬)の場合は別次元だ。

9月初旬、英王立協会が発行する学術誌バイオロジー・レターズで発表された新たな研究によれば、この種の「天才犬」はおもちゃの名称を覚えるばかりか、2年後に思い出すこともできる。

「言語は、さまざまな認知スキルの上に成り立つ。別の言語を学ぶこと、言語そのものを習得することでさえ、既に学習したことを記憶する能力なしには不可能だろう」と、同研究を率いた認知科学者のシャニー・ドロアは本誌に語る。「犬が言語を使用できないのは明らかだが、名称を長期間記憶する能力は人間固有のものではない」

今回の研究は2020年12月、GWL 5匹に新規の犬用おもちゃ12個の名称を1週間以内に教えるよう、飼い主に依頼することから始まった。

5匹が住む国はいずれも異なり、飼い主が犬と「話」をするのに使う言語はさまざまだ。各おもちゃの名称を、GWLが記憶済みの名前と似たものにしないことが重要だった。

「それぞれの犬に、既に200個ものおもちゃがあって、言語環境が異なる中、新規のおもちゃにどれも違う名前を付けるのは大変な課題だった」と、ドロアは話す。

遊びながら自然に学ぶ

ソーシャルメディアでライブ配信された実験の期間中、対象犬はいずれも11~12の新たな名称を見事に学習した。この後、おもちゃは犬から見えないところへしまい込まれ、2年以上たった昨年前半、研究チームはGWLがおもちゃの名前を覚えているかどうかを実験した。

長い時間的空白にもかかわらず、5匹のうち4匹(1匹はそれまでに死亡)が名前を覚えていたおもちゃの割合は最高で60~75%に上った。全体の平均正解率は44%だ。

「44%では、それほど高いと思えないかもしれない。だが偶然に正解する確率は20%ほどだから、44%は有意だ」と、ドロアは言う。

「犬は起こった出来事を少なくとも24時間、においを最長1年間忘れないことが判明しているが、一部の特別な犬は少なくとも2年間、単語を記憶できることが今回の研究で初めて明らかになった」と、研究チーム責任者のクラウディア・フガッツァは指摘する。

GWLはまれな存在だ

ドロアによれば、5年間かけて世界各地で調査したが、現時点で確認されているのは約40匹だけ。研究を深めるには、より多くのGWLが必要だ。

「飼い犬がおもちゃの名前を覚えているようなら、ぜひ知らせてほしい」と、ドロアは話す。GWLの研究プロジェクト「ジーニアス・ドッグ・チャレンジ」には、電子メール、フェイスブックやインスタグラムで連絡可能だ。

通常のしつけの場合と違って、GWLはほぼ偶然に学習するという。「興味深いのはその点だ。飼い主の大半は、おもちゃの名前を覚えるよう意図的に訓練したわけではなく、犬が自然に学んでいた」と、ドロアは語る。「たいていは、飼い主が犬と遊びながらおもちゃの名前を呼んでいるうちに、名前を言っただけで犬がおもちゃを持ってくるようになる」

「その後は、急速に能力が発達する。こうした犬にとっては、飼い主と一緒に遊べることがとても重要なようだ」

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