国際刑事警察機構(ICPO)総会が4日から英国で開催されるのを前に、台湾の李逸洋・台北駐日経済文化代表処代表(大使に相当)が毎日新聞に寄稿した。ICPO総会などへの台湾の参加を求めている。
国際犯罪防止へ台日連携が鍵
最近、日本でSNS(ネット交流サービス)型投資詐欺や、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取るロマンス詐欺といった詐欺事件、さらに「闇バイト」による犯罪事件などのニュースをよく目にする。残念ながら台湾でも同様の詐欺事件が発生している。これらの犯罪行為は、台湾と日本の治安や国際的な名誉を損なうばかりか、人々の財産や身の安全を脅かしている。
情報通信やAI(人工知能)などの科学技術の進歩につれ、犯罪グループは国際化し、組織構造も大企業のように分業化するようになった。その手法は多様化、巧妙化、そして複雑化し、複数国の犯罪グループの協力も珍しくなくなった。台日は地理的に近く、人的往来も緊密で、犯罪グループはこうした利便性を悪用している。
このような厳しい局面に立ち向かうには、国際連携と情報共有が犯罪防止の鍵となる。台日の警察や司法の連携は緊密で、双方は2023年、「法務司法分野における交流と協力に関する覚書」に署名した。
国際犯罪の共同取り締まりでも成果を上げている。23年5月と6月、台日警察当局は愛媛県内で初めて覚醒剤製造工場を合同捜査した。24年5月には再び合同で、国際詐欺とマネーロンダリング(資金洗浄)の犯罪グループを摘発した。
台湾はこのような法執行経験を各国と共有している。台湾は3月、日米豪英と共催で、国際的な詐欺事件について議論する「GCTF越境詐欺対策国際ワークショップ」を台北で開催した。各国の当局者や専門家らと意見を交わし、犯罪撲滅に向け、警察の国際協力の強化を呼びかけた。
台湾は、世界の安全維持と促進に貢献する能力も意欲もある。しかし、国連が中国代表権を処理した国連総会第2758号決議(アルバニア決議)を、中国が曲解し、台湾の国際機構への参加を妨害しているため、台湾は国際刑事警察機構(ICPO)から排除され、会議や訓練などに参加できない。
これは国際犯罪撲滅への障害となり、国際社会にとって重大な損失となっている。台湾がICPOに参加し、ICPOからリアルタイムで情報を受け取って各国と情報や経験が共有できれば、より迅速に国際犯罪組織を取り締まれる。日本を含む各国の人々の命と財産を守ることができる。
複雑なグローバル社会では、国際連携によって国際犯罪を撃退しなければ、世界の人々の安全と福祉を保障することはできない。台湾が国際社会のセーフティーネットを守るために寄与し、平和と安全、未来の繁栄を創出していくためにも、ICPO総会(11月4~7日・英国)への台湾のオブザーバー参加や関連会合への参加について、日本各界からの支持を呼びかけたい。(寄稿)
国際刑事警察機構(ICPO)
196の国・地域が加盟する国際犯罪の防止を目指した組織で「インターポール」とも呼ばれる。本部は仏リヨン。国際手配や捜査依頼の窓口となり、世界各国で盗難・紛失の届け出があった旅券情報も管理する。逮捕権はない。台湾は1984年までICPOのメンバーだったが、中国の加盟に伴い、脱退を余儀なくされた。
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