東海道新幹線は、未明に起きた保守用車の衝突のため、7月22日始発から運転を見合わせ、夕方になっても浜松ー名古屋間で運転を見合わせています。東京ー大阪間の「交通の大動脈」寸断される状況が続き、ビジネス客や夏休みの行楽、外国人観光客などにも影響が出ました。

新幹線が止まっている区間は在来線にも影響があるといい、JR東海は「東海道線が大変混雑しています。ご希望の列車に乗車できない可能性があります」などとして旅行計画の変更などを呼びかけています。

そんな中、22日大阪市北区のホテルには大阪府の吉村洋文知事や関西の財界トップ、国会議員など、多くの重鎮が集まっていました。

行われたのは、北陸新幹線をいち早く大阪に繋ぎ、早期全線開業の実現を目指した集会です。

北陸新幹線は今年3月、福井県の敦賀まで開通して4か月が経過。北陸新幹線建設促進同盟会によりますと、福井県内の観光地などで去年より観光客が3割増えるなど、早くも見える効果があるといいます。

しかし、ここにきて敦賀と大阪をつなぐ計画は、課題が一気に噴出しています、例えば工事費。

福井県の小浜市付近から、京都の地下を通って新大阪駅につなぐ「小浜・京都」ルートが計画されています。

国土交通省は2016年、この工事費を約2.1兆円と算出。しかし、関係者によりますと物価高などの影響で、工事費がほぼ倍などに膨らむ見通しで、着工に必要な条件の1つ「費用対効果」が条件を満たさないおそれがあるというのです。

北陸と大阪を結ぶ、大国家プロジェクトの今後は…。会合を終えた吉村知事は、報道陣の前で次のように話しました。

「きょう東海道新幹線が止まっている中で、やはり大動脈が東海道新幹線1本だけだとおぼつかない」

「災害時や緊急時に、人の移動手段として東海道新幹線一本だけでなく、日本海から北陸まわりで東京と大阪がつながる北陸新幹線が1日も早く全線開業することは重要だと思う」

吉村知事は北陸新幹線について言及する際、しばしば≪redundancy(リダンダンシー)≫という英単語を用います。

東京-大阪間の移動手段の≪リダンダンシー=予備・余剰が用意されていること≫として、必要性が叫ばれつづけている北陸新幹線。物価高や人口減少という現実的な課題が立ちはだかっています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。