旬を迎える前の需要に対応するため、福岡県朝倉市でイチゴの早期栽培が行われています。新しい技術によって通常よりも約2か月早く出荷が出来るということです。栽培の現場を取材しました。
”10月上旬”からイチゴが食べ頃に
福岡県朝倉市の上寺いちご園です。10月ですが、食べごろのイチゴがずらっと並んでいました。
RKB 本田奈也花アナウンサー「イチゴの甘い、いい香りがしています。いただきます。みずみずしい。そして、甘いですね。水分がたっぷりジューシーでほどよく酸味もあるんですけど、冬場に食べるイチゴと全く遜色ない。おいしいです。」
このイチゴ園の出荷時期です。2年前は10月下旬、去年は10月中旬、そして今年は10月上旬まで早めることが出来ました。
一般的なイチゴよりも、2か月近く早い出荷です。一体、どのように栽培しているのでしょうか。
株の根元に冷却水 イチゴをだまして実を早く
上寺いちご園(九州電力)栽培責任者 田川直さん「電気式のヒートポンプを用いて、冷却水をイチゴの株元にチューブで供給することで、こういう暑い時期でも、イチゴをだまして実を先にならせるような仕組みを作っています。」
汲み上げた地下水を機械を使って冷却し、いちごの株の根元に流します。実を付ける温度になるように調整して、早期に収穫をすることが出来るのです。
温度調整のための遮光カーテンも自動。
養分の入った液もタンクから自動でイチゴへ供給されます。
設備はオール電化 5年がかりの超促成栽培
上寺いちご園を運営するのは、九州電力。オール電化の栽培設備などで、イチゴの早期栽培に取り組んでいます。
上寺いちご園(九州電力)栽培責任者 田川直さん「イチゴは12月から4月、5月にかけて市場に出回ります。夏場はほとんど出荷されません。その分、単価が高く設定されます。ですので、ここを狙って10月から単価が高い時期に、多く出荷するのがこの超促成栽培です」
イチゴといえば冬から春にかけて旬を迎えますが、ケーキ店などからは、1年を通して需要があるのが現状です。
これまで栽培が難しかった時期にもイチゴを栽培・出荷しようと、5年前から始まった取り組みですが、課題もあります。
設備コストは1.5倍
RKB 本田奈也花アナウンサー「設備コストは一般的なイチゴ農家と比べてどうですか?」
上寺いちご園(九州電力)栽培責任者 田川直さん「導入される設備の条件にもよりますけど、設備コストはだいたい一般的な栽培の1.5倍ぐらいです」
RKB 本田奈也花アナウンサー「電気の方がお得な部分もありますか?」
上寺いちご園(九州電力)栽培責任者 田川直さん「電気も高くはなっていますけど、CO2削減の効果、カーボンニュートラルに寄与できると考えています」
早期出荷で、閑散期のいちごの需要に応えようとするこの取り組み。新たな販路開拓につながるのか、注目されます。
1パック1万800円 1粒1000円前後でも売れる
このイチゴを販売している百貨店、岩田屋本店の南国フルーツに話を聞きました。
生鮮イチゴは一年中需要があり、“自分で食べたい”という一定数の客がいるということです。
価格は18日時点で、1パック9~15粒入りで5400円。10月上旬の出荷が始まったばかりの時期は、1万800円で販売しても売れたそうです。
このイチゴを扱う久留米青果市場によると、この時期は珍しいため小売業者からの問い合わせが多く、単価は高いがよく売れる。個人消費もあるが、料亭などでの需要も考えられるということです。
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